HOME入会案内例会報告会誌紹介電子全集紹介 | 関連情報 | 著訳書目録著作データ | 参考文献リンク集玩草亭日和(ブログ)掲示板(会員限定)
電子全集TOP 巻 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
 中学、高校時代の校友会雑誌に寄稿した習作、大学時代の「映画評論」、そして未完作『獨身者』等、戦前に書かれた“青春の軌跡"を集大成。
 第7巻について 目次 資料
福永武彦電子全集第7巻について
画像クリックで Amazon.co.jp にリンク
第7巻 戦前の文業(散文)、大河小説『獨身者』
 小学2年生の新聞投稿から、開成中学・一高時代に校友会雑誌に寄稿した小文や小説、帝國大学時代の映画評論、そして翻訳や未完長篇『獨身者』まで、戦前の文業(散文)を集大成した一巻。
 ただし、大学卒業論文(「詩人の世界―ロオトレアモンの場合」仏文)は収録していない。卒業論文のオリジナルノートの所在は確認できなかった。『未刊行著作集』(白地社 2002)には収録されているが、掲載本文には疑問点、確認すべき点が散見される。それを確認せずにソノママ底本とすることは電子本全体の信頼を損なうことになる。
 また、テキスト化に当っては、中学時代まではすべて新字・新かな文に変換する。高等学校時代の小説は旧字・旧かな文と新字・新かな変換文を併載し、評論・小文は新字・新かな変換文のみを掲載する。翻訳はすべて新字・新かな変換文のみ掲載する。

Ⅰ.中学・一高時代
 東京開成中学校と第一高等学校の「校友会雑誌」に掲載された小説、評論、小文、翻訳のうち、第一巻収録以外の散文を収録する。
 1935年春、一高2年生となった福永は、弓術部下級生来嶋就信と知り合い、夏にかけて急速に親しくなり、烈しい恋心を燃やし積極的にアプローチするのだが相手に拒まれ、秋風の立つ頃には破綻してしまう。その直後に憑かれたように書き記された作品「ひととせ」を皮切りに、福永は旺盛な創作活動を開始する。それは、中学校までの創作とは異なった、自身の生を賭した烈しい情熱に貫かれた作品群である。

Ⅱ.「映画評論」
 映画評論は、1937年から1940年にかけて、主に雑誌「映画評論」に掲載された。浪人・大学時代である。1939年5月号以降は、北原行也のペンネームを用いている。フランス映画への言及が最も多く、デュヴィヴィエやフェーデ等の作品を、主として「藝術的か否か(詩情を湛えているか否か)」、「映画でしか表現できない見せ所があるか否か」の視点より歯切れよく論評している。

Ⅲ.『独身者』
 長篇『小説風土』の執筆が頓挫している間に構想された小説『獨身者』は、充分な準備を経た上で書き始められた。「一九四〇年前後の青年達を鳥瞰的に描いて愛と死と運命とを歌ふ」筈であったが、生活上の変転と身体不調のために第11章までで未完に終った。長く著者の手許に留め置かれたが、1975年、執筆後31年にして限定本として刊行された。当巻では、その限定本の旧字・旧かな文と新字・新かな変換文を併載する。

目次 ◎は単行本・新潮版全集未収録作品
1.◎中学時代まで
*すべて新字・新かな変換文のみ掲載。
・童謡「ネコトイヌ」:「九州日報」(1924.2.2夕刊)
・開成中学校「校友會雑誌」に発表した小文・翻訳
・小文「友に」:東京開成中学校「校友會雜誌」第九十七号(1931.12)
・翻訳「幻の歌」:東京開成中学校「校友會雜誌」第百号(1933.7)
・小文「感動實話」:東京開成中学校「校友會雜誌」第百号(1933.7)
・記事「辯論部々報」:東京開成中学校「校友會雜誌」第百号(1933.7)
・翻訳「アーサー王とその騎士」:東京開成中学校「校友會雜誌」第百一号(1933.12)
・作文「百草園遠足記」:東京開成中学校「校友會雜誌」第百一号
 (1933.12 この作品のみ底本は『開成詞華選 若き心 昭和編』1997.3)

2.◎一高時代に「校友會雑誌」他に発表した散文作品(第一巻収録「かにかくに」除)
*小説は、旧字・旧かな、新字・新かな変換文併催/エッセイは新字・新かな変換文のみ掲載。
・小説「ひととせ」:「向陵時報」第七十三号(1935.9 水城哲男)
・同 新字・新かな変換文。
・小説「眼の反逆」:「向陵時報」第七十五号(1935.10 水城哲男)
・同 新字・新かな変換文。
・小説「絶望心理」:「向陵時報」第八十号(1936.2 水上愁己)
・同 新字・新かな変換文。
・「詩性の敗北 ミモザ館」:「帝國大學新聞」(1936.2 「映畫批評」応募作)
・「ニュアンスの問題―フランス映畫に於ける―」:「エクラン」第二号(1936.5)
・「挽歌、デュヴィヴィエ」:「向陵時報」第八十六号(1936.9 水城哲男)
・小説「黄昏行」:「校友會雜誌」第三百五十七号(1936.11)
・同 新字・新かな変換文。
・記事「南軍(理科)」:「校友會雜誌」第三百五十七号(1936.11)
・小説「鬼啾」:「向陵時報」第九十号(1936.12)
・同 新字・新かな変換文。
・「校友會雜誌」編輯後記:第三五五号(1936.6)~第三五八号(1937.2)

3.獨身者
*旧字・旧かな/新字・新かな変換文併催。
・限定版『獨身者』(槐書房 1975.6 創作は1944年) 
・同 新字・新かな変換文。
 
4.映画評論(1937-1940) *新字・新かな変換文のみ掲載。
*雑誌「映画評論」掲載文を主とした戦前の映画評をすべて収録。
 
5.◎翻訳
*すべて新字・新かな変換文のみ掲載。
・訳「北緯六十度の戀」:『北緯六十度の戀』(実業之日本社 モーリス・ブデル 1940.4 今日出海名義)
・訳「年若き友の思ひ出に」:『近さん 歩んだ道』(日本少年寮記念の家 ワルワーラ・ブブノワ 1940.9)
・訳「ホアン・ミロについて」:「ATELIER」第十七巻第十号(アトリエ社 トリスタン・ツアラ 1940.9)
・訳「カルマ(業)」/「日本とイタリア」:『日本とイタリア』(日伊協会 カルロ・フォルミキ 1941.9)
・訳「ダンテ」:『サント・ブウヴ選集』第一巻(実業之日本社 1943.11)
・訳「序」:『民俗學概説』(創元社 ペー・サンティーヴ 1944.5)

【附録画像  特別資料(7)】
Ⅰ.福永末次郎より武彦宛書簡封筒と文面(1961.1.16)
Ⅱ.「九州日報」1924年2月2日夕刊掲載文
Ⅲ.母トヨ死去の新聞への告知。「九州日報」1925年4月15日朝刊
Ⅳ.福永自筆家系図(1970年4月10日記)
Ⅴ.『獨身者』創作ノートより、第7章、第11章、第18章
Ⅵ.限定版『獨身者』の装幀者、岡鹿之助宛識語署名画像
Ⅶ.雑誌「映画評論」表紙と目次(部分)3号分
Ⅷ.『ピランデルロ短篇選集』訳山口淸(日伊協会 1942.3.25)

資料 画像クリックで 拡大画像にリンク
1.「エクラン」:1936年5月号
 「ニュアンスの問題―フランス映畫に於ける―」掲載


2.「映画評論」:1940年1月号
 「軌跡と性格・その一」掲載



電子全集TOP 巻 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

HOME入会案内例会報告会誌紹介電子全集紹介 | 関連情報 | 著訳書目録著作データ | 参考文献リンク集玩草亭日和(ブログ)掲示板(会員限定)

 福永武彦研究会 since 1995 All Rights Reserved