当サイトは1995年に設立された福永武彦研究会の公式ホームページです。
福永作品を愛する方、福永武彦について深く知りたい方は、どなたでも入会できます。


 MENU
  
◇新年度特別企画の第1回として池澤夏樹氏講演会を開催します。
(2017/2/13)New!
  日時:2017年6月11日(日)14時~(80分程度+質疑応答)
  場所:東京堂ホール(神保町 東京堂書店)
  内容:詳細決定次第お知らせします。     主催:福永武彦研究会 後援:小学館
  人数:70人程度 
  参加費:会員 予約1000円、当日1500円/一般 予約1500円、当日2000円
   予約受付を開始しました。定員に達し次第締め切りと致します。
   参加される方のお名前、住所(できれば電話番号も)を記入しこちらへ申し込み下さい➡
   この機会に研究会への入会もご検討ください。入会申し込みも同一メールで結構です。
  
福永武彦研究会 平成29年度会員募集中(2017/2/13)
New!
 今年度新規会員(今年5月より来年5月まで)を募集しています。「会誌」最新号を発行時に1冊配付、また、会員特典として、ご希望の既刊の会誌を、3冊まで無償で配付させていただきます。年会費は5000円(学生・院生は3000円)です。
 例会見学、入会ご希望の方は、お気軽にご連絡ください➡

研究会の会誌「福永武彦研究 第12号」が発行されました。(2016/11/24)
New!
 【特別例会講演記録】近桂一郎氏「日本少年寮と福永武彦」
 【作品論】 『退屈な少年』 他
    
研究会20代メンバーが核となって企画された同人誌「Nocturne No.2」が発刊されました。(2015/11/24)New!
 【特集】『海市』 
   
第163回例会開催案内(2017/2/13)
New!
    
第162回例会報告(2017/2/13)
New!
   
福永武彦「夜の三部作」が復刊されました!(2016/8/15)
     
・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。池澤夏樹氏による解説文が掲載されています。
             
福永武彦「風土」が復刊されました! 
・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。池澤夏樹氏による解説文が掲載されています。
   
福永武彦「海市」が復刊されました!
・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。池澤夏樹氏による解説文が掲載されています。
          
福永武彦関連 新刊2点(2015/3/26)
 ・堀辰雄/福永武彦/中村真一郎(池澤夏樹編集 日本文学全集17)
 ・「草の花」の成立―福永武彦の履歴/田口 耕平
    






    
研究会の会誌「福永武彦研究 第12号」が発行されました。New!
   
 会誌購入を希望の方は、「研究会 会誌」のページをご覧下さい。
    
(内容)
 【例会講演記録】近桂一郎氏「日本少年寮と福永武彦」(2016年3月27日)
 【作品論】『退屈な少年』
 【随筆】
  ・福永武彦についての二つの思い出(附・福永武彦書簡資料)
  ・関連資料(附・福永武彦葉書資料)
 【随筆集索引】『夢のように』 その他

  
  *画像クリックで表・裏表紙の拡大画像にリンクします。

  
  



   


研究会20代メンバーが核となって企画された同人誌「Nocturne No.2」が発刊されましたNew!
   
 購入を希望の方は、「研究会 会誌」のページをご覧下さい。  
    
(内容)

 【特集】『海市』 
  ・海に沈む岩礁群-『海市』から想う- /雨でずぶ濡れ
  ・『海市』に見る福永武彦の主人公造形-『海市』覚書/Cahier
  ・批評・『海市』を探検する /クスボリ・しゅーげ
  ・『海市』あらすじ表
  ・『海市』あらすじ表について

    
 *画像クリックで表・裏表紙の拡大画像にリンクします。

  
  
   
   
   
第163回例会開催案内
  • 日時:2017年3月26日(日)13時~17時
    場所:川崎市平和館 第2会議室
    内容:
     1.討論 中篇集『告別』第3回
      ・「形見分け」を読む                   
     2.会報第23号に関して
     3.新年度特別企画に向けて
 どなたでも参加できます。 参加・聴講費:1000円(会員、学生は500円)
 お問い合わせ先: 福永武彦研究会  
          三坂 剛  メール misaka@siren.ocn.ne.jp
                fax  044-946-0172  

 

◇当サイトより会誌の購入ができるようになりました。
   現在庫のある第1号~3号、6号~10号の会誌を購入希望の方は、「研究会 会誌」のページ
   ご覧下さい。神田の八木書店、軽井沢高原文庫でも会誌を購入できます。
          
    
◇福永武彦「海市」「風土」「夜の三部作」が復刊されました。(2016/6/13)
 ・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。

    
◇福永武彦関連 新刊2点(2015/3/26)
 ・堀辰雄/福永武彦/中村真一郎(池澤夏樹編集 日本文学全集17)
   福永武彦:「深淵」「世界の終り」「廃市」
   堀辰雄:「かげろうの日記」「ほととぎす」
   中村真一郎:「雲のゆき来」を収録

              
 ・「草の花」の成立―福永武彦の履歴/田口 耕平




 書影付き著作データに以下の資料を追加しました。

◇翻訳書:掲載ページ
  書影クリックで拡大画像にリンクします。

  「幻を追ふ人」J=グリーン作
/窪田啓作共訳
1951/4/30 東京創元社 270円
46判・フランス装・カヴァ・帯・271頁
 
*「終戦直後、福永はいちはやくこの翻譯に手を染め、その前半部の譯稿を作つたが、偶々病を得て中絶し、永く原稿は彼の病床に秘められることとなつた。
「このたび、正式の翻譯権取得と同時に、その後半部(譯書一五三頁以下)を窪田が譯了し、ここに一巻として上梓する。」(「あとがき」より)


◇雑誌: 掲載ページ
  書影クリックで拡大画像にリンクします。

  「高原文庫」№2 「四季」第66号
 
   発行所:軽井沢高原文庫
 編集人:池内輝雄 発行人: 藤巻勲夫
 1987/7/1 500円

*座談会 福永武彦・文学の形成と発展―その深淵を探る試み 辻邦生・豊崎光一・曽根博義・鈴木貞美・池内輝雄 他。
 発行所: 四季社 編集兼発行者:日下部雄一
 1942/6/27 40銭
 
*マラルメ「エロディアド」の翻訳を巻頭に掲載(4頁~19頁)。他に、中村眞一郎の小品「窓」、小山正孝の詩「路上」など。画像3点は、(復刻でなく)オリジナル雑誌の表紙、目次、裏表紙。




    
◇第162回例会 New!
 日時:2017年1月22日(日) 13時~17時
 場所:川崎市多摩市民館第1学習室
 参加:10名
  1. 4月発行予定の「会報第23号」の内容検討
  2. 福永武彦生誕100年へ向けての特別企画を提案、皆で検討
  3. 「告別」を読む 第2回
  4. 科研費助成プロジェクトの一環として、文学館を調査した経過報告
【例会での発言要旨・感想】順不同(敬称略)

 ○Maさん:『告別』第2回 討論について
  •  『告別』は場面ごとの人物関係と時間の関係、意識の深度の差位など一行一行に注意力が必要なので、集中できる時間の確保が必要だが、今の私にはいずれも欠けている。
     第一回は欠席、継続論議となり嬉しくもあったが、本文の読解も章の区切りで内容を簡単にメモした程度で出席することになった。
     いつもながら『参考資料一覧』、『告別についてのメモ』、『自筆資料調査』、「講座福永武彦文学を愉しむ」(仮題)の提案など凄みある内容ばかり。より多くの参加者があって欲しいと思わずにはいられない。
    テキスト理解にあたって原善氏「福永武彦「告別」の構造」を元にHさんが発表された『告別についてのメモ』が本文内容をスッキリ整理してくれた。
     また『参考資料一覧』の錚々たる論者の顔触れと多方面からの指摘の多彩さは、要旨をまとめられたKさんのお力がおおいに預かっていると思われるが、各論者の内なる意識を揺さぶった感のある『告別』の内包する力を考えさせられる。
     完成度でいえば荒削りな面、着せ替え人形めいた人物造形など欠点も目立つが、『告別』はまだまだ論じ尽くされていないと思う。
     最近、福永武彦は作家として生を全うしたその点において幸福な人であったと思っている。そしてそれこそが読者に生きることへの勇気を与えるのだと思う。 
     蛇足だが、以前から気になっていることがある。語り手「私」と上條が音楽会の後にはいったバアから連れ立って出、地下鉄に乗車する。「私」は気分が悪くなりタクシーで帰ろうと「四谷見附」で降りる。地下鉄は丸の内線、現在の「四谷」駅と思われるが、地名とは別に「四谷見附」の駅名があったのか。音楽会は「日比谷公会堂」あたりか。バアは日比谷か銀座のあたりか、「私」の背後を走る電車は「都電」のことか。大きく変わらない地域でも背景は既に時代の変遷があるはず。先日ドックの検診帰りに散歩を思い立ったのはよいが勘違いし「四谷三丁目」で降りてしまいまだ確認できずにいる。
 ○Hさん:「告別」について
  •  「告別」は一読して内容をつかむのが難しかったので、読解の手掛りを得るため、過去の文献をいくつか読んでみた。その中で原善 「福永武彦「告別」の構造 1996」が「告別」を理解するのに参考になった。
    1. 構成・形式
    〇原善氏による「告別」の位相を図式的に示すと、次のようになる。
     A = 作品の基底となる語りの視座。
       現在時の〈私〉パート。次のBパートを〈その時〉と指し示す。
     B = 近過去の〈私〉パート。
     C = 上條に感情移入した〈私〉が想像する上條慎吾の大過去。〈彼〉パート。
     Cの中での片仮名表記部分:
      D = 上條慎吾(死者)の声。「己」パート。 Cの〈彼〉パートを相対化する。上條慎吾(死者)の独白。
      E = 夏子(死者)の声。
    〇「告別」は3行の空白行で区切られた23の断章からなる。例えば、断章1を①と表記する。23個の断章を上記のA, B,Cの位相に実際に分類すると、以下のようになる:
     A:⑳,㉒                (上條慎吾の一周忌の頃)
     B:①,③,④,⑥,⑦,⑨,⑪,⑬,⑮,⑱,㉑   (⑪と⑬以外は上條慎吾の入院から告別式まで)
     C:②,⑤,⑧,⑩,⑫,⑭,⑯,⑰,⑲,㉓    (㉓以外は上條慎吾の入院以前の大過去)
     ⇒
     以上のA, B, Cに属する断章を時間順に並べ換えると、以下のようになると思われる:
      ⑧,⑩,⑯,⑭,⑰,⑫, ⑪,⑬,⑤,②,⑲, ③,④,⑥,⑦,⑨,⑮,⑱,㉑,①, ⑳,㉒  ☆
           C       B    C         B        C   A
    2.主題
     ・上條慎吾の、娘の夏子から、愛するマチルダから、家庭から、仕事からの訣別・告別。
     ・マーラーの「大地の歌」の歌詞を援用しながら、故郷を求めて彷徨する生を描くこと。
    3.考察
    (1)(a)元のテキストを読んだ場合と(b)時間順に並べ換えたテキストを読んだ場合との比較
     (a)元のテキストを読んだ場合
       ,②,③,④,⑤,⑥,⑦,⑧,,⑩,,⑫,,⑭,,⑯,⑰,,⑲,,,,㉓
        B    B     B   B   B   B    B     B   A B  A
       (下線なしの断章はCに属する)
     ・起伏に富んだ物語になる。
     ・断章1と断章23は同時と読むことができ、断章23は上條慎吾の告別式で上條の魂が自分の人生を振り返り、皆に別れを告げていることを示すと考えられる。
     ・断章1で始めて断章23で終われば、上條慎吾の皆への告別から上條慎吾の告別式に繋がり、円環が閉じられて小説が終わった感じが得られる。
     (b) 時間順に並べ換えたテキスト(上記の☆印)を読んだ場合
     ・話の筋がわかりやすく、まとまりのあるものになる。
     ・話が単調になる。
     ・断章22は上條慎吾の一周忌の会に出席した〈私〉が途中で発作を起こす所で終わる(「・・・巨大なものが私を押し潰した。」)時間的には一番後になる断章22では話が終わった感じがしない。宙吊りの状態(それで、次はどうなるのか?)
    〇話の構成は複雑になるが、やはり(a)の構成でないといけないと思う。

    (2) 加藤周一の『続羊の歌』「死別」との比較       (『続羊の歌』: 自伝的作品)
    〇加藤周一の『続羊の歌』「死別」の友人(1967年発表)
     福永武彦 「告別」の上條慎吾(1962年発表)
     *「死別」の友人の描写と「告別」の上條慎吾の描写はよく似ている。

    「死別」
     ひとりの友人が死ぬ。・・・(中略)
     死んだ男 ― 私は彼をほんとうに識っていたのだろうか。・・・(中略)
     私の女友だちの一人は、彼がおかしい、大変奇妙な人間だ、といったことがある。・・・(中略)しかし私の裡には、次第に空想が育っていった。その空想は、次のようなものであった。
     彼は欧州で彼女に会い、夢中になった。・・・(中略)しかし東京に残して来た家族を捨てるつもりはなかった。・・・(中略)そこで窮余の一策を・・・(中略)彼は案じたにちがいない。彼自身は、東京の家族の面倒をみる。彼女はひとりで暮す。相愛の男女は、共に暮すことをみずからあきらめ、その苦しさに堪えることによって、かえって強く心を通わし、次第に精神的な絆を強めながら遂に無上の友情に到るであろう。その友情は、お互いの仕事をたすけ、お互いの人間を豊かにするにちがいない・・・・・ 彼はそういうことを夢みて、その夢を実現することができなかったのであろう。

    「告別」(断章3、全集384頁)
    そして私は、私自身が上條慎吾についてどれだけのことを知っているか、いなどれほど多くのことを知らないかを、自ら確かめ得た。
     *福永と加藤に共通の友人の死は大きな衝撃であり、友人の心情を理解するため、「死別」と「告別」を書いたのではないか? この友人の死がやはり福永が「告別」を書いた動機ではないかと思われる。
                                                     以上
 ○Kuさん:「告別」からの連想。
  •  上條慎吾は、日本にようやく復員してきました。そして妻の悠子さんのいるところに行きました。そして家族に、東京の家が焼けてしまったことを告げます。
     僕が関心があったのは、上條の復員は、生々しく感じられなかったことです。 
     実は、僕の恩師のK先生は、復員学生でした。そして、戦争について、よく話していました。先生は、戦争末期、学徒兵として東南アジアにまわされました。そして敗戦後は捕虜生活を送られ、1年半くらいでようやく復員してきました。
     そして、復員船の中で、当時の日本で話題になった野間宏の『暗い絵』を読み、新しい文学がはじまったことを実感されたそうです。その頃の話として、「文藝」特集号『追悼野間宏』を読む機会があったのですが、その中で、中村眞一郎さんが鈴木貞美さんの「『暗い絵』を野間さんがお書きになっていた時に、もうすでに?」という質問に対して「出てきてすぐに知りあいになって。」とこたえておられました。そして「作品自体はどうだったですか。」という問いについてはつぎのようにこたえておられました。
     作品自体は、野間が書くだろうと思うものを書いていたから不思議はなくて、僕のほうも『死の影の下に』が雑誌に連載になっていて、やっぱり書くだろうと思うものを書いているというので、野間にも驚きとかそういうものはなかった。
     思えば、K先生は、野間宏に言及されることはあっても、福永や中村に言及されることはありませんでした。話を復員に戻せば、先生は戦争のことに触れるとき、「後世の歴史家は、君たちについてどう評価するだろうね。温室育ちでさあ!」と言われました。僕はそこに復員学生の図太さを感じました。悔しいけど、これも事実です。
     話を多方面に広げます。僕の姉は医学系の学校の出身ですが、授業で医学部の先生が若き日の経験を述べることもあったそうです。兵士が怪我をしたら治療し、一方マラリアなどの伝染病を意識したそうです。
     勿論、戦争中の自分の行動について語らない人もいました。南京などの激戦地では多くの日本人が命を失いました。その折、敵兵を殺した日本人が少なからずいたことも事実でしょう。
    「やられたら、やり返す」のが戦争なのです。戦争が起こらないことを願うのみです。
     『告別』に話を戻します。上條が戦争について述べなかったのは、彼が加害者になったときがあったからかもしれません。そう考えれば、上條のかくされた態度がわかるかも知れません。
 ○Kiさん:「告別」について
  •  本作品は、福永が後日、『長篇小説を書くための準備として「告別」を書いた』(全小説第6巻・序)と書いているように小説技法上の工夫については評価できるものの、個人的な感想として、福永作品の中では読後の感銘度が少ない。なぜなのか、その要因を考えてみた。
     菅野昭正氏が『ここでは、「彼」にせよ「私」にせよ、作中人物の内面はそれほど深い奥行をもっていないし、複雑な陰翳を畳み込まれているとは言えない』(講談社文庫「告別」解説)と述べているように、上條が、いわゆる福永的暗黒意識を抱えた人物として描かれていないことが最大の要因と考えられる。内面描写が弱いのは「彼」(上條)と神経症を患う「私」(福永自身)とに焦点が分散していること、上條のモデルが実在したことがあるのだろう(福永は否定しているが)。上條とマチルダとの愛も不可能愛の次元にまで深まっていない。
     全体的に、マーラーの「告別」のテーマ「生は暗く、死もまた暗い」に寄りかかり過ぎた印象を受ける。「死の島」でのシベリウスにおける「カレワラ」と比肩できるくらい福永には格好の題材であり、傑作中篇となり得たかもしれず、実に惜しい。
 ○Miさん:Niさんの発表を聴いて。
  •  科研費助成プロジェクト「福永武彦における文化史的位相の研究」の一環として、全国各地の文学館・大学図書館を調査されている途中報告が、Niさんよりなされた。
     各種資料を調査されている中より「福永武彦自筆資料調査」として ①砂町文化センター石田波郷記念館 ②日本近代文学館 ③萩原朔太郎記念館 ④山梨県立文学館 ⑤神奈川近代文学館の所蔵資料の概略が示され、特に⑤の所蔵状況に関して口頭で報告された。
     同館に所蔵されている井上靖、埴谷雄高、中野重治他宛書簡の概要が報告され、特に新潮社編集者の谷田昌平宛の書簡が多数あり、内容が興味深いだけでなく、福永の自筆(かなりラフな筆遣いで読み難いと)に慣れるためにも、一度同館を訪れることの有用性を力説された。
     私自身、既に数回同館所蔵資料を手にしている経験からしても、福永の自筆物に数多く触れておくことは、生身の福永を身近に感じる捷径だと思うので、やはりお勧めしたい。
     ただ、例会発表の際、神奈川近代文学館の了承を得ていないという理由から、例えば谷田昌平や埴谷雄高宛の書簡紹介をする際にソノママ朗読されず、要旨のみであった点は、やむを得ぬこととはいえ、残念であった。
     福永武彦の自筆物(草稿・ノート・書簡・色紙類)が全国の文学館・大学図書館に分散している現状に於て、一館一館に脚を運び、丁寧に調査することの重要性は言うまでもない。その地道な調査の積み重ねの上に研究は成り立つ。その調査そのものがひとつの研究であるが、それは、年譜・伝記作成や書誌研究のためばかりではなく、福永文学の正当な理解、解釈に新たな局面を開くためにも不可欠の作業であろう。その調査を継続されているNiさんに心底より賛意を表したい。
     一方で、福永自筆資料は全国の文学館・大学図書館に分散しているだけでなく、同時に、全国の愛書家の手許にも相当量の資料が眠っている事実を押えておきたい。これは、20年以前~10数年前に、福永自筆資料が大量に古書市場に流れた結果だが、その状況の一旦は「福永武彦研究第6号」(2001)にもご報告してある通り。
     つまり、文学館・大学図書館を丁寧に調査することは不可欠の前提としても、全国の愛書家の手許に所蔵されている福永自筆資料の調査を抜きにしては「福永武彦自筆資料調査」は、道半ばで終る(完遂出来ない)のが現状である。
     自筆草稿だけでも『死の島』(は56回連載がバラバラに)、『告別』、『夜の時間』(もバラバラに)、『世界の終り』、『廃市』、『海市』など、すぐ思い浮ぶだけでも重要な作品は愛書家(と一部の研究者)の手許にある。
    他にも大量の創作ノート、メモの類、書簡や色紙まで含めたら、恐らく全国の文学館・大学図書館に所蔵されている資料群に質・量ともに劣らぬ資料が眠っているはずである。
     これらの資料にどうアクセスしていくのか、単に愛書家の善意に俟つだけではなく、何らかの働きかけをしていくことが必須だと、以前より私は考えている。その働きかけに、来年度の特別企画(当号掲載)がひとつのキッカケとなってくれることを願っている。
【当日配付資料】
 ①Ⅰ「告別」についてのメモ/Ⅱ「形見分け」についてのメモ A3 1枚
 ② 新年度特別企画「福永武彦文学を愉しむ」に関する概略文 A4 1枚
 ③ 科研費プロジェクト経過報告書 「福永武彦自筆資料調査」 A4 1枚
  資料提供:①Ha ②Mi ③Ni 
   
◇第161回例会以前の例会報告
   例会報告のページをご覧下さい。

 



  •  福永武彦研究会  三坂 剛   メール misaka@siren.ocn.ne.jp
                            fax  044-946-0172




 HOME
 研究会のご案内

 研究会例会報告

 研究会 会誌

 関連情報・資料紹介

 福永武彦データベース
  ■著訳書目録
  ■書影付き著作データ
  ■主要参考文献

 リンク・検索集

 玩草亭日和(ブログ)

 掲示板(会員限定)
 




福永関連著作(既刊)
amazon.co.jp にリンク

「夜の三部作」New!
小学館(P+D BOOKS)
(2016/8/8 復刊)






「風土」New!
小学館(P+D BOOKS)
(2016/7/5 復刊)





「海市」New!
小学館(P+D BOOKS)
(2016/6/13 復刊)





「死の島(上)」
(講談社文芸文庫)
福永文学の頂点
(2013/2/9 復刊)



 

「死の島(下」
(講談社文芸文庫)
(2013/3/9 復刊)


 


「草の花」(新潮文庫)
最もポピュラーな作品





「忘却の河」(新潮文庫)
一番好きという人が多い





「告別」(講談社文芸文庫)
代表的中編小説






「風のかたみ」(河出文庫)






「愛の試み」(新潮文庫)
愛をめぐる傑作エッセイ





「草の花」英訳版
(2012/4/24 発売)





「福永武彦新生日記」
(2012/11/30 発売)




「福永武彦戦後日記」
(2011/10/27 発売)



 

新潮日本文学アルバム
福永武彦



 

堀辰雄/福永武彦/中村真一郎
池澤夏樹編集 日本文学全集17



 

福永武彦とその時代
/渡邊一民



 

「草の花」の成立
―福永武彦の履歴/田口 耕平





福永著作(文庫古書)

「風土」(新潮文庫)
処女長編小説





「海市」(新潮文庫)
長編恋愛小説



「夢見る少年の昼と夜」
(新潮文庫)短編小説集







「廃市・飛ぶ男」
(新潮文庫)短編小説集


TOP HOME  ご案内  例会報告  会誌  関連情報・資料  データベース  リンク・検索集  玩草亭日和  掲示板 
Copyright 福永武彦研究会 since 1995 All Rights Reserved