当サイトは1995年に設立された福永武彦研究会の公式ホームページです。
福永作品を愛する方、福永武彦について深く知りたい方は、どなたでも入会できます。


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◇新年度特別企画の第1回として池澤夏樹氏講演会「福永武彦 人と文学」が、6月11日(日)に神田神保町東京堂ホールにて開催されました。予約で満席となる盛況でした。日本経済新聞(4月29日朝刊)文化欄に福永武彦が大きく取り上げられ、池澤夏樹氏、当会会長のコメント記事とともに講演会についても紹介されました。

    
第165回例会開催案内 New!
     
第164回例会報告 New!
     
福永武彦研究会 平成29年度会員募集中
 今年度新規会員(今年5月より来年5月まで)を募集しています。
 「会誌」最新号を発行時に1冊配付、また、会員特典として、ご希望の既刊の会誌を、3冊まで無償で配付させていただきます。年会費は5000円(学生・院生は3000円)です。
 例会見学、入会ご希望の方は、お気軽にご連絡ください➡
 
 
福永武彦「夢見る少年の昼と夜」が復刊されました! 
 小学館(P+D BOOKS)より。
 
書影付き著作データ・評論に「ゴーギャンの世界」を追加しました。
  
研究会の会誌「福永武彦研究 第12号」が発行されました。
 【特別例会講演記録】近桂一郎氏「日本少年寮と福永武彦」
 【作品論】 『退屈な少年』 他
    
研究会20代メンバーが核となって企画された同人誌「Nocturne No.2」が発刊されました。
 【特集】『海市』 

   
福永武彦「夜の三部作」が復刊されました!
    
・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。池澤夏樹氏による解説文が掲載されています。
             
福永武彦「風土」が復刊されました! 
・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。池澤夏樹氏による解説文が掲載されています。
   
福永武彦「海市」が復刊されました!
・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。池澤夏樹氏による解説文が掲載されています。
          
福永武彦関連 新刊2点(2015/3/26)
 ・堀辰雄/福永武彦/中村真一郎(池澤夏樹編集 日本文学全集17)
 ・「草の花」の成立―福永武彦の履歴/田口 耕平
    






    
研究会の会誌「福永武彦研究 第12号」が発行されました。New!
   
 会誌購入を希望の方は、「研究会 会誌」のページをご覧下さい。
    
(内容)
 【例会講演記録】近桂一郎氏「日本少年寮と福永武彦」(2016年3月27日)
 【作品論】『退屈な少年』
 【随筆】
  ・福永武彦についての二つの思い出(附・福永武彦書簡資料)
  ・関連資料(附・福永武彦葉書資料)
 【随筆集索引】『夢のように』 その他

  
  *画像クリックで表・裏表紙の拡大画像にリンクします。

  
  



   


研究会20代メンバーが核となって企画された同人誌「Nocturne No.2」が発刊されましたNew!
   
 購入を希望の方は、「研究会 会誌」のページをご覧下さい。  
    
(内容)

 【特集】『海市』 
  ・海に沈む岩礁群-『海市』から想う- /雨でずぶ濡れ
  ・『海市』に見る福永武彦の主人公造形-『海市』覚書/Cahier
  ・批評・『海市』を探検する /クスボリ・しゅーげ
  ・『海市』あらすじ表
  ・『海市』あらすじ表について

    
 *画像クリックで表・裏表紙の拡大画像にリンクします。

  
  
   
   
   
第165回例会 開催案内 New!
  • 日時:2017年7月23日(日)13時~17時
    場所:川崎市平和館 第2会議室
    内容:
     1.紹介と討論:詩文集『櫟の木に寄せて』(1976)/『福永武彦詩集』(1966) 
       *共に全集第13巻に収録。
     2.池澤夏樹氏講演会/七夕古書大入札会見学の御報告。
     3.その他(8月特別企画に関してなど)
 どなたでも参加できます。 参加・聴講費:1000円(会員、学生は500円)
 お問い合わせ先: 福永武彦研究会  
          三坂 剛  メール misaka@siren.ocn.ne.jp
                Fax  044-945-0666
 
 

◇当サイトより会誌の購入ができるようになりました。
   現在庫のある第1号~3号、6号~10号の会誌を購入希望の方は、「研究会 会誌」のページ
   ご覧下さい。神田の八木書店、軽井沢高原文庫でも会誌を購入できます。
          
    
◇福永武彦「海市」「風土」「夜の三部作」が復刊されました。(2016/6/13)
 ・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。

    
◇福永武彦関連 新刊2点(2015/3/26)
 ・堀辰雄/福永武彦/中村真一郎(池澤夏樹編集 日本文学全集17)
   福永武彦:「深淵」「世界の終り」「廃市」
   堀辰雄:「かげろうの日記」「ほととぎす」
   中村真一郎:「雲のゆき来」を収録

              
 ・「草の花」の成立―福永武彦の履歴/田口 耕平



   
 書影付き著作データに以下の資料を追加しました。
   
◇評論:掲載ページ
  書影クリックで拡大画像にリンクします。

 
   

「ゴーギャンの世界」元版

 1961/7/5 新潮社 700円

二光印刷・A5判・丸背厚紙装,背クロス・函・帯
324頁(他に圖版30頁,「年表」と「文獻目録」で43頁)
*近親者だけに配付した30部限定の「別刷後記」(3頁)あり(全集第19巻に附録として収録)

   (前川康男宛 福永自筆の献呈・後書き)
 
献呈先の前川康男は、福永が『ゴーギャンの世界』を執筆している際の担当編集者の1人。もともと児童作家志望で、新潮社を退社して後、多くの著作がある。

  
◇雑誌: 掲載ページ
  書影クリックで拡大画像にリンクします。

  「高原文庫」№2 「四季」第66号
 
   発行所:軽井沢高原文庫
 編集人:池内輝雄 発行人: 藤巻勲夫
 1987/7/1 500円

*座談会 福永武彦・文学の形成と発展―その深淵を探る試み 辻邦生・豊崎光一・曽根博義・鈴木貞美・池内輝雄 他。
 発行所: 四季社 編集兼発行者:日下部雄一
 1942/6/27 40銭
 
*マラルメ「エロディアド」の翻訳を巻頭に掲載(4頁~19頁)。他に、中村眞一郎の小品「窓」、小山正孝の詩「路上」など。画像3点は、(復刻でなく)オリジナル雑誌の表紙、目次、裏表紙。




     
◇2017年度総会・第164回例会 New!
 日時:2017年5月28日(日) 13時~17時
 場所:川崎市平和館第2会議室
 参加:10名
  
【総会内容】
 1.2016年度会計報告
 2.2017年度運営委員選出
 3.今年度例会・特別企画の提案内容他
   
【総会内容】
 1.『ゴーギャンの世界』討議
 2.池澤夏樹氏講演会の準備について
  
【例会での発言要旨・感想】順不同(敬称略)

  ○Kiさん『ゴーギャンの世界』感想
  •  絵画のために、それ以外のすべて(家族、仕事、裕福な生活、祖国)を犠牲にしたゴーギャンの精神遍歴に焦点を当てた力作。福永は他の画家以上になぜゴーギャンに惹かれたのか?
    ① ゴーギャンはマラルメと親交があり、象徴主義の影響を受けた絵画を描いた。また、象徴主義的な文学的、詩的なエッセイ「ノアノア」を書いている。福永は自身の芸術(福永にとっての純文学)に対する姿勢と一致する芸術家としてゴーギャンを捉えようとしたのだろう。
    (本文からの引用)『ゴーギャンがマラルメに学んだ最大の教訓は、マラルメ的美学、あるいは象徴主義の教義である。「詩の中には常に謎があらねばならない。それが文学の目的なのだ。その他に目的はない。対象を喚起すること、これだ。」』
    ② ゴーギャンの芸術至上の生涯、とくに「希望する、それはほとんど生きることだ」の言葉が福永自身に大きなインパクトを与えたこと。「風土」でもこの言葉を引用している。清瀬の療養所で生と死の狭間で過ごした福永には、自分自身のこととして実感できた言葉に違いない。
  ○Haさん:『ゴーギャンの世界』について 
  • 1.構成・技法          
    (1-1) 構成   
    ゴーギャン(1848-1903)の生涯の主要部分を以下のように区分して記述している。:
    1883株仲買店を辞め、職業画家になる。
    1888 技術的開眼(総合主義)(ポン=タヴェン、2月-10月)、ゴッホとの共同生活(アルル、10月-12月)
    1891-1893 タヒチ第一次滞在(受難劇第一幕)
    1895-1901 タヒチ第二次滞在(自殺未遂1898年2月)  (受難劇第二幕)
    1901-1903 ヒヴァ・オア島滞在           (受難劇第三幕)

    (1-2)技法
     aゴーギャンの生涯(伝記) b手紙と著書 c絵の解説 の3要素の繰返しで構成している。        
               
    2.主題 
    「僕が主として語りたいのは彼(ゴーギャン)の内的世界の秘密である。」(元版『ゴーギャンの世界』74頁上段、新潮社1961年)
    (2-1)ゴーギャンはなぜタヒチに行ったかを解明する。
    ① 彼の芸術が遂に彼ひとりのためにしか存在せず、パリの画壇には身の置くべき場所もなかった」(『ゴーギャンの世界』192頁下段-193頁上段)
    ② フランス植民地の中で最も生活費の安いところとしてタヒチを選択。
    ③ 「彼は「芸術的中心は頭脳の中にある」ことを信じ、既に出来上がった内部世界にふさわしい土地としてタヒチを選んだ。」(「ゴーギャンとゴッホ」『意中の画家たち』125頁、人文書院1964年)
    (2-2)ゴーギャンのタヒチ時代の絵が独自のものに変わった原因・理由は何か? 
    ① 謎めいたもの:
    ・「彼の真の個性が発揮されたのは、1891年に初めてタヒチ島に渡った時から、そのあと死ぬまでの12年間にあると、僕は考えたい。」(『ゴーギャンの世界』13頁上段)   
    ・「僕がタヒチ以後の作品にしかゴーギャンの真価を認めないのは、ブルターニュ作品には何かが欠け、タヒチ作品には何かがあるからだ。その何かとは、繰り返し言えば、一種の謎めいたものである。」(『ゴーギャンの世界』13頁上段-14頁上段)
    ・「この絵(NEVERMORE)の効果は、-----大鴉は裸婦との無言の対話による一種の謎めいたもの、原始的な何ものかである。」(『ゴーギャンの世界』16頁下段)  
    ② タヒチ島の風土:「ゴーガンがほんとうのゴーガンになるのは、まさしく1891年以降のことなのである。」(高階秀爾『続名画を見る眼』72頁、岩波新書1971年)
    ③ マラルメとの出会い(1890-91年の冬):「直接マラルメから話を聴き、マラルメ的美学の洗礼を受けたゴーギャンが、詩における象徴主義の方法を、絵画の上で実践しようとしたのは必然の成り行きであった。やがて来るタヒチ時代の作品が、それ以前のものと異なるのは、明らかにこの方法の獲得にあった。」(柏倉康夫『マラルメの火曜会』(147-148頁、丸善1994年)

    3.考察
    (3-1) 『ゴーギャンの世界』であって、『ゴーギャンの生涯』ではない、評伝(だけ)ではない。:
    ① ゴーギャンは「呪われた画家」であった。(『ゴーギャンの世界』8頁上段)
    ② ゴーギャンの悲劇:「ゴーギャンは画家としては野蛮な芸術に成功した、人間としては野蛮人たることに成功しなかった。その矛盾の中にゴーギャンの悲劇があった」(『ゴーギャンの世界』312頁上段) → 『風土』の中に同様の記述がある。:「本当の生が、文明の中にではなく未開の世界にあるという原理は、ゴーギャンにも分かっていただろう、しかしパリジャンの彼にタヒチの土人になりきることはできなかった筈だ。」(全集第1巻357頁)    
    ③ ゴーギャンの世界の内容は、例会で渡邊さんが指摘されたように、「タヒチの女を古代神話の世界に再現すること。これが第一次タヒチ時代のみならず、1891年以降の彼の全作品に共通する主題となる。」(『ゴーギャンの世界』215頁上段)ということだと思われる。
    (3-2)なぜ福永武彦はゴーギャンを取り上げたのか?『ゴーギャンの世界』を書いたのか?:
    ① 『風土』を書く上でゴーギャンの世界を理解することが必要だった。
    ・『風土』 1941-1951年執筆、 1952省略版発売、1957年完全版発売。 
    ・『ゴーギャンの世界』 1955-1961年執筆 1961年7月発売。
    ただし、福永のゴーギャンへの関心はすでに学生時代に始まり(『ゴーギャンの世界』後記)、『風土』執筆時期に先行する。
    ② 『ゴーギャンの世界』執筆時の、福永武彦の日本の文壇に於ける地位がゴーギャンのそれに類似していた。:
    「ゴーギャンの画壇に於ける地位は、その晩年まで、極めて貧弱だったに違いない。」(『ゴーギャンの世界』306頁下段)(“日曜画家”の経歴)
    ③ ゴーギャンの求めていたものは純粋芸術(『ゴーギャンの世界』187頁上段)であり、福永武彦の求めていたものは純粋小説であり、ゴーギャンは福永にとって同志だと考えられていたのではないか。
    ④ ゴーギャンの人生に福永の小説の主要なテーマの愛・孤独・死を見たため。それゆえゴーギャンに大きな関心があった。    
  ○Waさん:『ゴーギャンの世界』発言要旨
  •  第一に、『ゴーギャンの世界』が著者渾身の力作であること。作品を原画でなく複製に頼らざるを得なかったことは、著者にとって不本意だったに違いありませんが、「我が家から一歩外へ出るのも億劫」(「追記」) な人が、海外から「当時の入手し得るゴーガン資料のほとんど総て」(丹治恆次郎) を取り寄せ、それらを積み上げるのでなく読み込んで、必要に応じて自ら訳し一巻を作るのですから、これは大変な力技です。巻末の年譜、文献目録も、各項目が型通りの記載でなく著者自身の文になっていて、この画家に対する著者の強い関心を窺わせます。

     第二に、実像との差異。『ゴーギャンの世界』は多数の書簡、草稿を引きながら、実証的、客観的に考察を展開します。しかし、さすがに刊行から半世紀余、現在では本書の描くゴーギャン像と実像との間に、若干の差異も認められる、そして、そのことはゴーギャン理解の限界というよりも、むしろ著者の関心の在り方を浮かび上がらせていると思います。
    全体として、此処に提示されているゴーギャン像は、極めて清潔で整合的な、謂わば「きれいな」ゴーギャン像です。例えば晩年のゴーギャンには、唐突で不可解な言動がありました。昔はこれを、植民地統治の行政 (文明) と現地住民 (野蛮) との間で画家は苦悩した、と説明することが多く、『ゴーギャンの世界』も、ボードレールの「二重人」のような概念を持ち出して解釈を試みます。しかし現在では、画家の罹患していた感染症の進行に伴う記憶、意識の障害、錯乱をも一因に考慮することが、一般的だろうと思います。少なくとも画家晩年の不毛は、この身体的理由が大きい。こうした面の検討が『ゴーギャンの世界』に、全くない訣ではありませんが、極めて少ない。著者はこの画家に「官能の陶酔」でなく「理想の美の追求」を、人格の崩壊、破綻でなく「美の殉教者」を、見出そうとしているように見えますし、そのことは福永作品の理解に於て、極めて重要だろうと思います。
    ちなみに例会当日に配布された「ゴッホとゴーギャン」に係わる「ノオト」翻刻は、興味深い資料ですが、この「自殺に失敗して生き延びた者」というあたりは、既に実在のゴーギャンというよりも、むしろ作者の想像力の作り出した「ゴーギャン」だろうと考えています。

     第三に、中期作品群の背景として。逆に中期の作品群を考える上で、『ゴーギャンの世界』は極めて多くの示唆を含み、その意味で重要です。もとより『ゴーギャンの世界』があったから中期の作品群が書かれた、という訣ではありませんが、恐らく背景として、重なる部分が多い。此処にはボードレールがいてマラルメがいる、象徴主義があり原始美術があって「仮面」がある。『ゴーギャンの世界』を、これは評論だから、として創作から切り離して考えるのは、誤りだろうと思います。中期の作品には「退屈な少年」や「告別」のように、さまざまな要素が盛り込まれながら、それらが主題として十分に展開されていないように見えるものがありますが、作者は何を考えていたのか、『ゴーギャンの世界』は、その意図を推測する手掛りの (総てではないにせよ) 一端を与えてくれているように思います。

     第四に、クレオール。日本での関心は限定的ですが、現代の文学研究に現われる主題の一つは、多言語、多民族、また文化的多元主義としての「クレオール」問題です (ちなみに近年、異なる社会的要素の混淆としての「クレオール化」に対し、この文脈で、文化的な混淆を「雑種化」、そのような文化を「雑種文化」と呼ぶ場合があります。此処で「雑種」は hybrid、「雑種化」は hybridization)。『ゴーギャンの世界』刊行の 1961 年に「クレオール」という視点は、まだ存在しなかった。しかるにゴーギャンは、ペルーに生まれたフランス人として、クレオールの画家であり、のみならず、福永作品の背景では、ロートレアモンもまた、ウルグアイに生まれたフランス人として、クレオールの詩人です。恐らく「クレオール」は、福永文学に本来内包されていながら今日まで検討されることのなかった問題であり、現代に於て福永作品を捉え直す一つの可能性となり得るのではないかと考えています。21 世紀に『ゴーギャンの世界』を読み返すことの意義もまた、そこにあるだろうと思います。
  ○Miさん:
  •  「ゴーギャン、私の1点」と題された単行本・全集未収録文(初出「週刊朝日百科 世界の美術13 ゴーギャン」朝日新聞社 1978.6)に加え、福永自筆創作ノートより「ゴッホとゴーギャンに関する補足的主題」なる翻刻文を配付しました。

     「私の1点」より。「その1点の油絵はゴーギャンの真髄を私に教えたばかりでなく、文学的な見地からも当時の私(註 1943年夏)に多くのことを示唆してくれた」「《かぐわしい大地》は私に感動と疑問とを同時に投げかけた。当時の私が「世界の謎」と名づけたものがそこにあった」。そして今でも「この1枚の絵を見ていると、確かに世界は滅びたが、しかし「世界の謎」は依然としてあると、つぶやきたくもなるのである」。
    この謎は、もちろん福永が「問題」として選択したものですが、60歳の福永が書き記した言葉は、『小説風土』(執筆は1941-1951 福永23歳から33歳)で追求した問題を、晩年に至るまで一貫して保持していたことを示しています。

     「自筆ノート」より。「自殺という目的の前に、彼は遺書としての作品(我々は何処へ行くか)を描いた。それは自殺によってのみ美しくあるような作品である」「ゴーガンは自殺に失敗した。しかし本質的に彼は自殺者であり、自殺を予想することによって傑作を描くような芸術家だった。シュルヴィヴァンとして彼は死後の消息を描いた。それも亦傑作である」
    この自筆創作ノートは『海市』(1968)のために執筆されたものの一部ですが、40代後半の福永が、ゴーギャンの芸術創造の秘儀に深い関心を抱き、自殺という鍵語を問題として選択し、解明を試みていたことを示しています。

     つまり、福永は青年時代から晩年に至るまで、持続的にゴーギャンに関心を持ち続け、少数の、しかし自らにとって切実な「問題」をそこから引き出し、それを小説(『小説風土』)であれ、今回の評伝であれ、定着しようと試み続けたということ、そのような種類の作家であることを、上記の資料でもハッキリと見て取ることができるでしょう。
     そのようなスタンスで執筆された『ゴーギャンの世界』(1961 執筆は1955-1960)は、たとえ学問的な部分では乗り越えられても、その詩篇や小説と並んで、決して古びることのない、福永独自の問題を含んだ「一つの作品」であると考えます。
【当日配付資料】
  ①2016年度会計報告(総会資料)            A4片面1枚
  ②ホームページアクセス者数の推移/会誌在庫数(総会資料) A4両面1枚
  ③2017年度例会内容・特別企画(案)(総会資料)    A4片面1枚
  ④「『ゴーギャンの世界』についてのメモ」         A4片面1枚
  ⑤全集・単行本未収録文「ゴーギャン、私の1点」      A3片面1枚
  ⑥福永武彦自筆創作ノートより
   翻刻文「ゴッホとゴーギャンに関する補足的主題」     A3片面1枚
  ⑦池澤夏樹講演会チラシ            A4片面1枚
              ①Sa ②Ki ③Mi ④Ha ⑤~⑦Mi
             *⑤・⑥は、以前例会で配付した資料を再配付したもの。

【回覧資料】
  ①『櫟の木に寄せて』普及版(書肆科野 1977)
   *次回例会時に採り上げる予定ですが、所蔵している者が少ないので回覧しました。
                                ①Mi
   
◇第163回例会以前の例会報告
   例会報告のページをご覧下さい。

 



  •  福永武彦研究会  三坂 剛   メール misaka@siren.ocn.ne.jp
                      Fax  044-945-0666




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(2016/7/5 復刊)





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福永文学の頂点
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(講談社文芸文庫)
(2013/3/9 復刊)


 


「草の花」(新潮文庫)
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「忘却の河」(新潮文庫)
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代表的中編小説






「風のかたみ」(河出文庫)






「愛の試み」(新潮文庫)
愛をめぐる傑作エッセイ





「草の花」英訳版
(2012/4/24 発売)





「福永武彦新生日記」
(2012/11/30 発売)




「福永武彦戦後日記」
(2011/10/27 発売)



 

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堀辰雄/福永武彦/中村真一郎
池澤夏樹編集 日本文学全集17



 

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「草の花」の成立
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処女長編小説





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(新潮文庫)短編小説集


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