当サイトは1995年に設立された福永武彦研究会の公式ホームページです。
福永作品を愛する方、福永武彦について深く知りたい方は、どなたでも入会できます。


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◇池澤夏樹氏に当研究会の顧問に就任していただくことになりました。
 
cafe impala 池澤夏樹氏の公式サイト
       
第171回例会開催案内 New!
  
第170回例会報告
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◇平成30年度会員(6月より1年間)募集中です。
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 会員になると様々な特典が受けられます。詳細 
   
軽井沢高原文庫では、福永武彦の生誕百年にあたる2018年に、以下の展覧会・関連イベントが開催されます。展覧会には、当研究会から資料提供などの協力を行います。
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<展覧会> 詳細 
 夏季特別展「新しい世界文学へ 加藤周一・中村真一郎・福永武彦 マチネ・ポエティク、モスラ、…」
  会期:7月21日(土)~ 10月8日(月・祝)
  入館料:大人700円、小中学生300円、会期中無休
  
<関連イベント>
・軽井沢演劇部朗読会 PDFファイル
 「福永武彦ミステリー劇場 名探偵・伊丹英典@睡鳩荘」
  福永武彦(加田伶太郎)「温室事件」(昼の部)「完全犯罪」(夜の部)
  日時:7月15日(日)、7月16日(月・祝)各13:00~、17:00~
  会場:旧朝吹山荘「睡鳩荘」(軽井沢タリアセン内) <要予約>
  料金:一般4000円/中学生以下2000円(ドリンクサービス付)*軽井沢タリアセン入園料含む
 
・高原文庫の会 詳細
 「わが青春の追分」―加藤道夫と福永武彦と―
  講師:中村哮夫(演出家) 聞き手:矢代朝子(俳優・当館理事)
  日時:8月4日(土)14:00~ 会場:当館中庭(※雨の場合、屋内変更)<要予約>
  料金:2500円(ガーデンパーティー費・夏季特別展観覧料含む。但し、友の会会員は2000円)  
 
◇新年度特別企画の第1回として池澤夏樹氏講演会「福永武彦 人と文学」が、昨年6月11日(日)に神田神保町東京堂ホールにて開催されました。予約で満席となる盛況でした。日本経済新聞(4月29日朝刊)文化欄に福永武彦が大きく取り上げられ、池澤夏樹氏、当会会長のコメント記事とともに講演会についても紹介されました。

 
福永武彦「廃市」が復刊されました!

 小学館(P+D BOOKS)より。    
     
 
福永武彦「夢見る少年の昼と夜」が復刊されました! 
 小学館(P+D BOOKS)より。
 
書影付き著作データ・評論に「ゴーギャンの世界」を追加しました。
  
研究会の会誌「福永武彦研究 第12号」が発行されました。
 【特別例会講演記録】近桂一郎氏「日本少年寮と福永武彦」
 【作品論】 『退屈な少年』 他
    
研究会20代メンバーが核となって企画された同人誌「Nocturne No.2」が発刊されました。
 【特集】『海市』 

   
福永武彦「夜の三部作」が復刊されました!
    
・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。池澤夏樹氏による解説文が掲載されています。
             
福永武彦「風土」が復刊されました! 
・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。池澤夏樹氏による解説文が掲載されています。
   
福永武彦「海市」が復刊されました!
・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。池澤夏樹氏による解説文が掲載されています。
          
福永武彦関連 新刊2点(2015/3/26)
 ・堀辰雄/福永武彦/中村真一郎(池澤夏樹編集 日本文学全集17)
 ・「草の花」の成立―福永武彦の履歴/田口 耕平
    






    
研究会の会誌「福永武彦研究 第12号」が発行されました。New!
   
 会誌購入を希望の方は、「研究会 会誌」のページをご覧下さい。
    
(内容)
 【例会講演記録】近桂一郎氏「日本少年寮と福永武彦」(2016年3月27日)
 【作品論】『退屈な少年』
 【随筆】
  ・福永武彦についての二つの思い出(附・福永武彦書簡資料)
  ・関連資料(附・福永武彦葉書資料)
 【随筆集索引】『夢のように』 その他

  
  *画像クリックで表・裏表紙の拡大画像にリンクします。

  
  



   


研究会20代メンバーが核となって企画された同人誌「Nocturne No.2」が発刊されましたNew!
   
 購入を希望の方は、「研究会 会誌」のページをご覧下さい。  
    
(内容)

 【特集】『海市』 
  ・海に沈む岩礁群-『海市』から想う- /雨でずぶ濡れ
  ・『海市』に見る福永武彦の主人公造形-『海市』覚書/Cahier
  ・批評・『海市』を探検する /クスボリ・しゅーげ
  ・『海市』あらすじ表
  ・『海市』あらすじ表について

    
 *画像クリックで表・裏表紙の拡大画像にリンクします。

  
  
   
   
   
第171回例会 開催案内 New!
  • 日時:7月29日(日)、13時〜16時30分
    場所:ミューザ川崎 研修室3 
    内容:
     ①集団討論『加田伶太郎全集』
      *4月に東京創元社より新たな編輯で発行された文庫版が手軽に入手可能。
     ②(刊行が間に合えば)「会誌第13号」配付。
     ③その他
     
  • 【関連情報 展覧会】
     *7月15日、16日に、軽井沢高原文庫イベントとして、同書より「完全犯罪」と「温室事件」が朗読されます。

 どなたでも参加できます。会員以外で聴講を希望される方は事前に研究会に申し込みをお願い致します。
 参加・聴講費:1000円(会員、学生は500円)
 お問い合わせ先: 福永武彦研究会 三坂 剛  メール:  Fax:044-945-0666
 
 ◇当サイトより会誌の購入ができるようになりました。
   現在庫のある第1号~3号、6号~10号の会誌を購入希望の方は、「研究会 会誌」のページ
   ご覧下さい。神田の八木書店、軽井沢高原文庫でも会誌を購入できます。
          
    
◇福永武彦「海市」「風土」「夜の三部作」が復刊されました。(2016/6/13)
 ・小学館(P+D BOOKS)より。池澤夏樹氏が解説を特別寄稿。

    
◇福永武彦関連 新刊2点(2015/3/26)
 ・堀辰雄/福永武彦/中村真一郎(池澤夏樹編集 日本文学全集17)
   福永武彦:「深淵」「世界の終り」「廃市」
   堀辰雄:「かげろうの日記」「ほととぎす」
   中村真一郎:「雲のゆき来」を収録

              
 ・「草の花」の成立―福永武彦の履歴/田口 耕平



   
 書影付き著作データに以下の資料を追加しました。
   
◇評論:掲載ページ
  書影クリックで拡大画像にリンクします。

 
   

「ゴーギャンの世界」元版

 1961/7/5 新潮社 700円

二光印刷・A5判・丸背厚紙装,背クロス・函・帯
324頁(他に圖版30頁,「年表」と「文獻目録」で43頁)
*近親者だけに配付した30部限定の「別刷後記」(3頁)あり(全集第19巻に附録として収録)

   (前川康男宛 福永自筆の献呈・後書き)
 
献呈先の前川康男は、福永が『ゴーギャンの世界』を執筆している際の担当編集者の1人。もともと児童作家志望で、新潮社を退社して後、多くの著作がある。

  
◇雑誌: 掲載ページ
  書影クリックで拡大画像にリンクします。

  「高原文庫」№2 「四季」第66号
 
   発行所:軽井沢高原文庫
 編集人:池内輝雄 発行人: 藤巻勲夫
 1987/7/1 500円

*座談会 福永武彦・文学の形成と発展―その深淵を探る試み 辻邦生・豊崎光一・曽根博義・鈴木貞美・池内輝雄 他。
 発行所: 四季社 編集兼発行者:日下部雄一
 1942/6/27 40銭
 
*マラルメ「エロディアド」の翻訳を巻頭に掲載(4頁~19頁)。他に、中村眞一郎の小品「窓」、小山正孝の詩「路上」など。画像3点は、(復刻でなく)オリジナル雑誌の表紙、目次、裏表紙。




     
◇総会・第170回例会 New!
 日時:2018年5月27日(日) 14時15分~17時
 場所:川崎市平和館第2会議室
 参加:7名
   
【総会内容】
 ・昨年度会計報告
 ・今年度新運営委員の決定
 ・今年度例会内容
 ・今年度特別企画
 ・その他
 
【例会内容】
 ①『第二随筆集 遠くのこだま』の検討・討論
 ② 軽井沢高原文庫での夏季特別展他、連絡事項の伝達。
  
【例会での発言要旨・感想】順不同(敬称略)
  
 ・Waさん:福永武彦研究会 第170 回例会 発言要旨
  •  随筆・エッセイについての皆さんのさまざまな読み方、捉え方、読む側それぞれの興味と性格を見るようで面白く、勉強になりました。回想などには証言・記録の意味もあるかと思いますが、私自身は怠惰な読者で、研究のような難しいことは考えず、専ら楽しみとして読んでいます。
     こちらの知らないことについては、はあ、そうなんですか、と思いながら読みますが、観たもの、知っていることについては、いやあ、本当にそうですねえ、とか、あ、それはちょっと違うんですよ、とか。あまり意識してはいませんでしたが、考えて見れば、こちらにとっては通った中学・高校の遠い先輩ですから、何処か気安いところがあるのかも知れません (厚かましい話です)。殊に最近は映画、美術、音楽について、架空の会話を楽しむことが増えました。
     瑣末な伝記的事実よりも (それは誰でも、まあ大して変わらない)、例えば一枚の絵画に、一晩の音楽に、その人が何を感じ、何を考えるか、そうした反応に (その反応は人によって違う、謂わばそれが知性の働き、精神の運動でしょう)、その人の個性はよく現われるだろうと思います。
     昔に書かれたものには、さすがに古いと思われる面もあって、例えば映画批評について、「本来映画批評というのは観客に指針を与えることを目的としているから」とするのは、映画批評がまだ批評として独立しておらず、啓蒙的な役割を担っていた時代の名残りだろうと思います (「映画の限界と映画批評の限界」(1956) 全集 14 巻 p.197 上段)。
     しかし美術、音楽についての評価と感想は、私の考える限り、いま読んでも実に適確と思われることが多く、さまざまな意味で制約の多かった時代に、よくこれだけのことを、と思います。恐らく『ゴーギャンの世界』が典型でしょうが、大変な勉強をされたのだろうと思います。
     最近興味があって、絵画についてのエッセイ・随筆を、まとめられた本ではなく画家や時代で、謂わば本を横断して読んでいたものですから、改めて福永さんの好みや捉え方の傾向についても考えました。時代や場所はかなりの範囲に及びますが、通して読めば、やはり厚みに違いはあります。例えばフランスを中心とする近代絵画に厚く、ベルギー・オランダ、また 17 世紀に薄い。象徴主義に厚く、超現実主義に軽く触れて、古典主義には薄い。西洋絵画、次いで日本画に厚く、唐宋の山水画に薄い。論じたかった作品は、まだ多くあったはずです。
     それで、これは読者の特権でしょうが、絵画についての文を集め、組み換えて、架空の「美術論集」を編むことを、空想して楽しむことがあります (実は最近、小さな詩集を作る手伝いをして、味をしめました)。こういう構成はどうでしょう、とか、この画家については、この文を採りましょう、とか、この図版を色刷りで入れましょう、とか。私家版・特装版も必要ですよね、山崎さんに持ち掛けたら、僕はそういうの作らないって、あっさり却下されまして、とか。
     随筆・エッセイを読む楽しみは、結局のところ、作者との附き合い、その精神と感性に附き合うことの、楽しみに尽きるように思います。                                       
 ・Miさん:「年報 福永武彦の世界」第4号(2017.3)の「資料解題①」に関して。
  •  上記の冊子を先日お贈りいただいたので、まず冒頭掲載の「『死の島』目次案」を楽しみつつ眺めました。カラー版なので色違いの字使いも明瞭で有用な画像です。
     「見慣れた福永の字に間違いない、グリーンペンや色鉛筆使用も、楽しみつつこの目次を作成したことを示してる。1枚目の右上の<上巻 約806枚、下巻 768枚 1574枚 画像参照>は、400字詰の枚数計算だろう。全体の構成は大略単行本と違わないし、まあ「文芸」連載後、単行本刊行(1971.9)直前に記されたものに違いない」とスグにわかりました。
     ところが「資料解題①」では、違う意見が記されています。                    
     「いつ書かれたものなのか確証がないが」「「『死の島』の連載を翌年から開始することになる一九六五年、または書き下ろし小説として執筆しようとした一九六二年に成立したものではないかと推測する」とあります。なんとも不可思議な解題です。
     いつ書かれたかは、上記の通りほぼ明確です。改めて理由を列挙してみましょう。
    ①<上巻 約806枚、下巻 768枚 1574枚>の1枚目右上の記載(画像参照)。
    ②「文芸」連載時、その第12回(1967.1)の「作者自身による幕間の口上」には「この小説がほぼ中間に達した点で、作者は新しい読者のために(また今迄附き合って下さった忍耐強い読者の記憶を整理するために)作品のこれまでの梗概を説明し(以下略)」とあること。
    ③「文芸」連載時、その第22回(1968.1)の「作者自身による幕間の口上」に「一年ほど前の新年号で作者は同じような口上を述べて、その中に「この小説がほぼ中間に達した点で」と書いた。それが正確ならもう終ってもいい筈なのだが(以下略)」とあること。
    ②、③の「口上」は<「死の島」前半連載中には、全体の構成が固まっていなかった>ことを端的に示すものでしょう。②の1967年1月号、つまり連載第12回で全体の「ほぼ中間に達した」のなら、全体は24回構想となりますが、③の1968年1月号、連載第22回で「それが正確ならもう終ってもいい筈なのだが」と福永自ら記しているところからも、その24回構想が崩れてしまった(=さらに延びている)ことを明らかに示しています。1968年の段階でも、全体の構成は揺れていることが②、③よりわかります。そして実際は、全56回の連載となったことは後存知のとおり。
     ところが「解題①」によると、連載以前の1965年、或いは1962年の段階で全体の構成がほぼ出来ていたことになります。
     実は①以外にも、この目次一覧が1965年や1962年に書かれる筈のない「決定的な証拠」がこの目次には記されているのですが、ここで挙げるのは控えます。ただ、私は、書かれた字体ソノモノを見て「1960年代後半以降に書かれた字であること(=60年代半ば以前ではないこと)」がわかります。

     解題筆者によると、福永は『死の島』執筆以前に全体の構成を、ほぼ現行と大差はない程度(=「若干の変更」と言う)に決定していた如くですが、しかし上記②・③のことは「初出誌を確認する」という初歩的手続きをしていれば、当然気付く点ですし、既に「福永武彦研究 第9号」(2013)所収の「小説『死の島』本文主要異同表」に、私が記しておいたことでもあります。
    もちろん、そのような探索以前に、最初に記したごとく、①が決定打でしょう。概略であれ、枚数計算は「作品が書かれた後」にしか出来ません。

     一見些細な点を指摘しているようですが、しかし、この「解題①」を読んで判明するのは、この目次の執筆時期の誤謬ばかりではありません。むしろ問題点は、長篇『死の島』の成立過程(全体の構成がいつごろ現行の形に定まったのか)に対して解題筆者がまったく誤った認識を持っているということであり、その原因のひとつが「初出誌をキチンと確認していない」という点にこそあります。
     私は前回3月例会報告文に於て次のように書きました。「<福永の書いた、各版の本文ソノモノ>を、ろくに対照・検討もせず、決定版本文のほかには、せいぜい初出文にあたるくらいでお茶を濁している(註 今回はそれもしていない)。<本文に大きな違いはない。いちいち対照しても意味がない>と先行独断し、杜撰な本文像を保持したまま「論考」(註 今回は「解題」)を仕上げ、研究と称している。私は、そのような現状を遺憾とする者である。」「既出論考の「杜撰な点」を具体的に指摘することによって、現状を少しずつでもあるべき方向に動かすことに、意を固めている。これから、例会を通して、ひとつひとつ、上記の観点より批判的検討を行っていきたい。」

     お贈りいただいた冊子のお礼の意味を込めて、今回はその批判的検討の第一弾として「解題①」を採り上げました。これからも「現状を少しずつでもあるべき方向に動かす」ために、既出論考の杜撰な点をドシドシ指摘して行く所存です。 
 ・Haさん:『遠くのこだま』について  
  •  第一随筆集『別れの歌』が「堅固なひとつの世界を構成している作品集です」という、第153回例会報告(2015年7月)のMiさんのことば、また『別れの歌』の後記の「時間が主役を演じるように全体を按排し」ということばを参考にして、第二随筆集『遠くのこだま』の世界はどういうものであるかを考えながら読んで見た。
     
    1.『遠くのこだま』
    ・8つの大項目に分かれており、そのうち5つの大項目が芸術(絵画と音楽(オペラを含む)と映画)に関するもの(分類Aとする)
    で、全頁の約半分を占める(眼・耳、四つの展覧会、四枚の絵、四つの映画、四つの音楽)。
    ・残りの半分は大学教授、小説家としての仕事以外の福永の日常と人生論ふうの感想(分類Bとする)を記述している(旅、心、日常茶飯)。

    2.芸術
    (1)・辞書の定義:「他人と分かち合えるような美的物体,環境,経験を作り出す人間の創造活動,あるいはその活動による成果をいう。」(ブリタニカ国際大百科事典電子版)
    ・分かりにくいので、私なりの定義を以下に示した。:
    芸術(品):視覚あるいは聴覚を通じて感じることのできる美によって、人の心(魂)にプラスの影響(楽しみ、喜び)を与える活動(もの)。
      (2)具体例(上記辞書による):文学、視覚芸術(絵画、映画、彫刻)、音楽(作曲)、舞台芸術(演劇、舞踏、音楽)、建築、装飾芸術(服飾、装身具、家具)、グラフィック・デザイン(広告、ポスター)(下線:『遠くのこだま』で取り上げているもの)
      (3)制作者と鑑賞者(芸術家と享受者) ⇒ 福永も含め、大抵の人間は芸術の鑑賞者になる。鑑賞者としての見解が『遠くのこだま』に述べられている。
      (4)オリジナルと複製(再生):眼(絵画:展覧会と画集)、耳(音楽:演奏会とCD)、眼と耳(映画:映画館とDVD)、眼と耳(舞台芸術(演劇・オペラ・バレエ):実演とDVD)

    3.『遠くのこだま』で取り上げられている芸術
     四つの音楽(『レコード芸術』に発表したもの)と眼・耳の一部の作品を除いて、福永はできるだけオリジナルの芸術を鑑賞した後にその見解を述べようとしている。

    4.『遠くのこだま』の中で印象に残った随筆と福永の言葉は以下の通り。:
    (分類A)
    〇「ギュスタヴ・モローと神話の女」
    ・「私は小さな時分から神話というものに興味を持っていた。」
    ・「私は一般に神話というものを好み、従って神話の画家とも言うべきギュスタヴ・モローを好んでいる。しかしまた、モローのような芸術家の生き方に、延いてはモローの描いたような女たちにも、関心があることは言うまでもない。」
    〇「音楽の魔術」
    音楽を聴く理由:「わたしの魂に水を撒いてやるだけである。」福永が戦後に結核のためサナトリウムに入所し、当時は結核の治療法としては「絶対安静にまさる療法はなかった。そこで私たち患者の唯一の愉しみは、レシーヴァで聞く枕もとのラジオにあり、」ラジオで音楽を真剣に貪り聴いていたという。このことに福永の音楽に対する思い入れが感じられる。
    (分類B)
    〇「私と外国語」:「(外国語を習うのは)結局は無駄である。しかし趣味としては高尚だし、損をしたとは思わない。」 ユーモアが好ましい。同感。
    〇「たかが金魚」:どうでもよい内容だが、何となく読まされてしまう。ほほえましい。

    5.『遠くのこだま』の世界
    ・ここに書かれていることが大学での仕事と小説を書くこと以外の福永武彦の主な生活ではないかと思われる。
    ・多くの随意筆で、最初の文章で明確にその随筆のテーマを提示されていて、その書き方が心地よい。
    ・エッセイと随筆の区別
    福永の小説、エッセイは集中して読まないと頭にはいらない、読むと肩が凝ることがあるが、福永の随筆は短いものが多く、気楽に読める。
    ・福永の随筆の中の虚構と事実の区別
    Miさんが第153回例会報告で書いている福永随筆の特質:「福永の随筆は、時に(意識的な)虚構が混在しており、(中略)、単に福永の人となりを知るための材料では決してなく、内容と文体が緊密にむすびつき、ひとつの世界を構成する(詩や小説と並ぶ)「独立したひとつの作品」である」ことをまだ十分に理解できていない(どこが虚構であるのかわからないため)。例会で三坂さんより、虚構の例としては時期,人名等が事実そのままではないことがあるという補足説明があり、幾分理解できた。
    ・福永武彦の友人たちの文章に基づく福永のイメージは《気難しい人、怖い人、良くしゃべる人》だが、このイメージと福永の随筆に基づくそれが一致しないことが、福永の随筆に虚構が含まれることを暗示するのかもしれない。
【当日配付資料】(総会配布文も含む)
 ①「2017年度会計報告書」A4 1枚
 ②「2018年度例会内容・特別企画(案)」A4 1枚
 ③「2018年度軽井沢高原文庫 夏季展オープニングイベント 福永武彦ミステリー劇場 名探偵・伊丹英典@睡鳩荘」A4 1枚
 ④「第二随筆集『遠くのこだま』書誌」A4 1枚
 ⑤「2003年9月14日 湖月館 福永武彦歌碑除幕式」A4 2枚に画像8点。
 ⑥「『遠くのこだま』についてのメモ」A3 1枚
 ①Sa、②~⑤Mi、⑥Ha
  
【回覧資料】
 ①福永武彦自筆手帳「金沢・能登旅行メモ 1964年」複写より2頁分。
  *「湖月館」の人々、そこでの出来事が絵入りで細かく記されている。
 ②『完全犯罪 加田伶太郎全集』(東京創元社 創元推理文庫 2018.4)
 ③「豊島区立 鈴木信太郎記念館」パンフレット3種(会の資料とする)
                         ①~③Mi
 
◇第169回例会以前の例会報告
  例会報告のページをご覧下さい。

 
  

  •  福永武彦研究会  三坂 剛   メール misaka@siren.ocn.ne.jp
                      Fax  044-945-0666




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「夜の三部作」New!
小学館(P+D BOOKS)
(2016/8/8 復刊)






「風土」New!
小学館(P+D BOOKS)
(2016/7/5 復刊)





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小学館(P+D BOOKS)
(2016/6/13 復刊)





「死の島(上)」
(講談社文芸文庫)
福永文学の頂点
(2013/2/9 復刊)



 

「死の島(下」
(講談社文芸文庫)
(2013/3/9 復刊)


 


「草の花」(新潮文庫)
最もポピュラーな作品





「忘却の河」(新潮文庫)
一番好きという人が多い





「告別」(講談社文芸文庫)
代表的中編小説






「風のかたみ」(河出文庫)






「愛の試み」(新潮文庫)
愛をめぐる傑作エッセイ





「草の花」英訳版
(2012/4/24 発売)





「福永武彦新生日記」
(2012/11/30 発売)




「福永武彦戦後日記」
(2011/10/27 発売)



 

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堀辰雄/福永武彦/中村真一郎
池澤夏樹編集 日本文学全集17



 

福永武彦とその時代
/渡邊一民



 

「草の花」の成立
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