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書影付き著作データ (2)詩歌集

【 掲載書影 】
マチネ・ポエティク詩集(共著)(1948)
ある青春(1948)
福永武彦詩集(1966)
夢百首・雑百首(1977)

*画像クリックで拡大画像にリンクします。

□マチネ・ポエティク詩集(共著)
○限定750部版
「マチネ・ポエティク詩集」限定750部 1948・7・1 麥書房 180円
小島順三郎・155×170・フランス装・本文上質奉書紙・3方アンカット・番号入・174頁
*福永詩篇は「火の島」「物語」「冬の王」「詩人の死」「誕生」「星」「冥府」「宿命」「薔薇」「饗宴」「詩法」の11篇所収。「序」,「NOTES」1947年12月
同詩集の元版は、以前より一貫して人気が高く、多くの古書が一時に比べて数割安価で出回っているのに反して、ますます市価を高めている。この限定版は市場に時々現れるが、装幀が同一で本文に洋紙を使用した普及版はめったに現れない。
   
○普及版
『マチネ・ポエティク詩集』同人8人共著 1948・5・10 眞善美社 100円、155×170・フランス装・174頁
*「火の島」「物語」「冬の王」「詩人の死」「誕生」「星」「冥府」「宿命」「薔薇」「饗宴」「詩法」の11篇,「序」、「NOTES」47年12月
同書の限定750部本も部数の割には見かけない詩集であるが、こちらの普及本は稀覯本でめったに出現しない。洋紙に刷ってあるので、和紙刷りの限定本に較べて痛んでいる本が多い。装丁・内容(ページ数)とも同一であるが、厚みは限定本の半分ほどしかない。画像は、普及本の奥付。


ある青春
○普及本(画像 左)、特製本(画像 右) 
「ある青春」普及本(画像 左) 1948・7・10 北海文學社 150円
大同印刷・134×185×9(横×縦×厚)
・フランス装
・表紙川上澄生の木版装幀,木版挿画4葉
・161頁
「ノオト」47年5月 帯廣,詩21篇,「附録」としてボオドレエル,マラルメ,ロオトレアモンの作品の翻訳

「ある青春」特製本(画像 右) 角背厚紙表紙に和紙貼装 北海文學社
奥付け元よりなし・139×189×17(横×縦×厚)
・本文フールス上質紙
・表紙川上澄生装幀,木版挿画4葉内1葉手刷木版(落款)番号入
 ・161頁

「福永本、この1冊」を挙げるなら、詩集『ある青春』をおいて他にはない。福永の堅固な詩的世界と川上澄生の質朴かつ雅趣のある創作版画が一体となった、現代詩集中でも屈指の傑作である。
画像から、特製本の厚みが普及本のほぼ倍あることがわかるだろう。


福永武彦詩集
○ 特製版 限定50部(市販43部・非売7部)


1966年6月10日 麥書房 25000円
成旺印刷・B5判変型・総モロッコ革(印度産山羊革)装・各冊に駒井哲郎銅版画1葉入
3冊揃って布貼夫婦函入・番号,ペン詩,署名入・「詩集に添えて」12頁付
*非売7部本も同判,同装幀
同書の定価25000円は1966年当時として破格の値ではあるが、駒井哲郎版画の魅力もあり、刊行後の値上がりは甚だしく、一時は市販本で120万円を超えていた。現在は60万円~80万円前後である。
福永武彦本の蒐集家を自認するには、『ある青春』特製本と並んでぜひとも所蔵していたい一本である。

 
○特製版 限定13部本(非売本)

「福永武彦詩集」限定13部 小型版純白モロッコ革異装本 1970・10・13 麥書房
明和印刷・A6判(115×156)・純白モロッコ革装・天金・前小口及び地アンカット・印度産山羊皮貼4方秩・ダンボール外函・番号・ペン署名入・179頁
福永の名を冠した詩集は、1966年に元版600部が刊行された後(駒井哲郎銅版画入の特装本が別に50部)、2年後に装幀を改めて普及版が出され、さらにその2年後の1970年に版型を改めて小型判詩集が2種類刊行された。一つは1000部本(フランス装)で、他が130部の鹿皮装雁皮紙本。その市販本130部の他に13部の純白モロッコ革装の雁皮紙本(非売品)が造られた。愛書家としての福永の一面である。
画像は、その13部本である。まず市場に現れない稀覯本。この後、決定版たる枡型版詩集が1973年に刊行される。
 
○元版 限定600部本

福永武彦詩集」元版 限定600部 1966・5・10 麥書房 1500円
成旺印刷・A5判・丸背厚紙装・函・番号入・145頁(他に「目次」1頁)
*「ある青春」「夜 及びその他のソネット」「死と轉生 及びその他の詩」の各題のもと計39篇の詩を収める 「詩集に添えて」66年4月,「福永武彦既刊詩集」,カット 川上澄生
画像の「福永武彦詩集刊行覚書」において「死の憂愁に彩られたサンボリスムの発想と感受性は、深く氏の詩的深淵に根ざすものであって、本書は、処女詩集『ある青春』から共著『マチネ・ポエティク詩集』を経、組詩「死と転生」に至る今までの全詩篇を収めて、福永文学の醇乎たる原質を示すものです」と刊行者堀内達夫は記している。この著書に賭ける刊行者の熱意が感じられる。造本はシンプルであるが堅固であり、組みは余白をゆったりと広く取り、また川上澄生のカットを所々に配して、繰り返し読まれることを予期している。函の背・縁が焼け易い。市場価格は6000円~10000円程。
 奥付


 刊行覚書


○ 普及版
「福永武彦詩集」普及版 1968・4・20 麥書房 850円
松村保・A5判・フランス装・函・145頁(他に「詩作品目録」4頁,「詩集目録」2頁,目次1頁)
* 内容は元版に同じ 但し、「詩作品目録」・「詩集書目」(源 高根,堀内達夫)を増補、カット 川上澄生
元版600部本よりも、この普及版の方が入手し難い。市場価格は5000円~8000円程。増補された「詩作品目録」と「詩集書目」は、書誌研究上で有用である。

○「福永武彦詩集」写真版2部本
 先日、懇意の古書店より連絡を受け、市場に福永武彦の面白い資料が出ていることを知りました。「福永武彦詩集」自筆ノオトの白黒コピーを大学ノートに1ページごとに張り付け、巻末には印刷した奥付が添附され、源高根宛の福永自筆識語が入っている2部本とのこと。存在は以前より知っていましたので入札を依頼したところ幸いに落札できました。
 元となっている福永自筆の詩集というのは、『時の形見に』(白地社 2005.11)に写真版で紹介されているノートとはまた別の中判の大学ノートに記されたもので(1943年に清書されたもの)、収録詩篇も多少増えています。
 奥付と福永識語により、このノートを作製したのは源高根氏であることがわかります。源氏はたえずこの写真版を参照し、岩波書店版『福永武彦詩集』校異への疑問を熱の籠った論文として纏めた際に参照したのもこの2部本です。
 表紙、本文、奥付画像を掲載します。書影クリックで拡大画像にリンクします。



□夢百首・雑百首
○特製版

「夢百首・雜百首」特製版 1977・7・30 中央公論社 A版48000円
A版50部「夢百首」 精興社・118×196・赤布装,丸背革・番号,毛筆歌,署名入,題簽自筆・98頁(他に「夢百首 目次」3頁)、「夢百首序」1977年3月
「雜百首」 精興社・118×196・青布装,丸背革・番号,「玩艸亭主人」毛筆署名入・題簽自筆・84頁(他に「雜百首 目次」4頁)、「雜百首序」1977年3月
*2冊揃って布貼爪付4方帙入・ダンボール外函
同書特製版には、他にB版(定価28000円)150部がある。B版は市場にわりと出るものの、このA版は余り見かけない。


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