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福永武彦研究会・例会報告(10) 第123回〜第134回 (2010年5月〜2012年5月) |
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【第134回研究会例会】 2012年5月27日(日) 【第133回研究会例会】 2012年3月18日(日) 【第132回研究会例会】 2012年1月29日(日) 【第131回研究会例会】 2011年11月27日(日) 【第130回研究会例会】 2011年9月25日(日) 【第129回研究会例会】 2011年7月24日(日) 【第128回研究会例会】 2011年5月22日(日) 【第127回研究会例会】 2011年1月30日(日) 【第126回研究会例会】 2010年11月28日(日) 【第125回研究会例会】 2010年9月26日(日) 【第124回研究会例会】 2010年7月25日(日) 【第123回研究会例会】 2010年5月23日(日) *第135回例会以降、直近までの研究会例会報告は、本サイトのTOPページに掲載されています。 第134回例会内容 日時 2012年5月27日(日) 13:00〜17:00 参加者:9名 場所 川崎市平和館 第一会議室 【内容】 1.『夜の時間』の検討 ・Ki氏より「『夜の時間』参考資料一覧が配布され、1.福永自身による言及 2.単行本 3.文芸関連雑誌 4.新聞、文庫/全集解説他 5.大学研究紀要、その他研究録 に区分した各文の「要旨」を朗読、簡単に解説。本作に関する論文が極めて少ないことを確認する。 ・『夜の時間』を参加者全員で討論。冴子の生の発見物語として読みたいという意見が複数出た。表現上、会話箇所で――(現在の会話)と「 」(過去の会話)の区別。内容上、おかしな箇所の指摘複数。形式上、芥川作品との類似。その他。 ・Mi氏より、ァ.「『夜の時間』初出⇔元版 本文主要異同表」を配布し、簡単に解説。 ィ.「小説メモ 1948」と標記のある福永自筆手帖よりP.4/P.20(福永自ら頁付をしている)の翻刻+複写を配布し朗読。『夜の時間』の初期構想が読み取れる。 2.Mi氏より『草の花』、英訳版・独訳版の紹介。今年刊行された両著は、amazonより容易に入手可能(左爛にリンク掲載)。 3.A氏より「十二色のクレヨン」1)〜6)までの雑誌連載時の複写と「違反建築の話」自筆草稿の冒頭部分の複写が配布。 4.その他 ・今年度中に「会誌 9号」を発行することを確認する。 第133回例会内容 日時 2012年3月18日(日) 13:00〜17:00 参加者:8名 場所 川崎市平和館 【内容】 1.『冥府』の検討(第4回) ・前回に続き『冥府』と村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』との比較対照 :前回配布の対比表、及びMさん持参の村上春樹のインタヴュー集(『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 1997-2009』 2010 文藝春秋社)を参考に活発な討論が展開された。当該作品への細かな分析が不足した感は否めないが、インタヴューの言葉を手掛かりにしつつ、村上の現代世界に向き合う基本的スタンスや執筆姿勢、他作品との関連、その他を検討した。Ki氏より『世界の終り〜』の英訳版が回覧された。 2.A氏より福永自筆資料他紹介 ・「十二色のクレヨンの違法建築騒動記省略部分」と題したプリント(A31枚)が配布され、「ミセス」掲載文(1969年1月号〜同年12月号)の内、随筆集『夢のように』(1974 新潮社)への収録文が一覧で示され、また、その中で自身の所蔵する自筆草稿が明示された。同時に「ミセス」連載第3回分の複写(A3 2枚)と自筆草稿「引越後日」の複写(玩艸亭書屋 ペン400字×4枚=A3 2枚)が配布された。 またそれとは別に、福永の翻訳文が掲載されている『日本とイタリア』(1941 日伊協会編)が回覧された。 3.Mi氏より福永自筆資料他紹介 ・福永武彦自筆手帳1979年より、「1979予定」部分の複写を配布、説明(ペンA4 1枚)。その予定で 仕事)として挙げられている木下杢太郎の関連資料として ィ 『百花譜』(1979 岩波書店)刊行時の内容見本に、福永が執筆した一文「杢太郎の最後の夢」の複写を配布、朗読(A3 1枚)。この一文は、単行本・全集未収録。最後に、その『百花譜』の文庫版(2007 『新編 百花譜百選』岩波文庫)が刊行された際に、紹介かたがた会の「掲示板」に書き込んだ一文を配布、朗読(A4 1枚)。 4.その他 ・秋頃に追分の玩草亭訪問を決定 第132回例会内容 日時 2012年1月29日(日) 13:00〜17:00 参加者:7名 場所 川崎市平和館 【内容】 1.『夜の三部作』より「冥府」を取り上げ、検討を行った(第3回)。 ・村上春樹著「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(1985)と「冥府」(1954)との比較対照 :「対比メモ」(「世界の成り立ち」、「記憶」、「暗黒意識」等の10項目に関して、各々の著作の特徴を具体的に列挙し、両者への覚書(解釈)を記した一覧表/A4、3枚)を使用しつつ、両著作のポイントを皆で確認し、討論の土台とする。参加者各々、自らの解釈・疑問点を述べ合い、議論。 ・論文(「『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』論」−音楽が担う役割―「名古屋近代文学研究 第13号 平成8年4月発行」)の執筆者より概略説明の後、質疑応答。 村上作品に対する読み込み具合が参加者によりまちまちなので、議論として突込みが不足した感は否めないものの、新しい試みとして刺激のある内容になった。初期村上が、文体確立のために第1稿を英語で書いていたなど、興味深い。次回3月にも、継続予定。 2.福永武彦自筆資料紹介 他 ・白井健三郎宛福永武彦自筆葉書3枚(1954年)の白黒複写(A4 3枚)と、その翻刻・註釈(A3 1枚)を配布し、時代背景共に解説。福永年譜、マチネ・ポエティク研究の一環として。 また、『福永武彦戦後日記』に関する書評(「新潮」・「群像」「本の雑誌」・「週刊文春」)を4点配布(A4 4枚)。 3.その他、当会の活動を意義有らしめるための体制、方向性などに関してざっくばらんに話し合い。 第131回例会内容 日時 2011年11月27日(日) 13:00〜17:00 場所 川崎市平和館 会議室 【内容】 1. 『夜の三部作』より『冥府』を取り上げ、検討を行った(第2回)。 ・既出論文についての検討 ・会員による「『冥府』をめぐるノオト」発表 2.新刊『福永武彦戦後日記』について 校訂・註釈者として関ったMi氏より、刊行に至った経緯の説明、註釈上の原則、資料の意義と限界について解説がされた。また日記に関連した未発表自筆資料の配布がなされた。 3.研究会会計報告 第130回例会内容 日時: 2011年9月25日(日) 13:00〜17:00 場所: 川崎市平和館 第1会議室 【内容】 1.『夜の三部作』より『冥府』を読む 第1回 ・『冥府』既出論文一覧表の配布・解説 ・『冥府』全体討論 ・福永自筆「文藝手帖」(1954)から「冥府」関連頁のコピーを配布・紹介。 2.「十二色のクレヨン」から「引越」の自筆草稿、「ミセス」初出稿、単行本掲載稿のコピーの配布・紹介 3.活動内容に関する意見交換 第129回例会内容 日時: 2011年7月24日(日) 13:00〜17:00 場所: 川崎市平和館 第1会議室 【内容 1.『小説 風土』を読む 第4回 既出論文より、各人が注目した論文を取り上げ、討論を行った。さらに自らの興味関心を基にミニ発表を行った。『小説 風土』の検討は、今回で完結とする。 2.愛書家としての福永武彦について(福永旧蔵本披露)。 3.論文検索・入手方法について(プリント配布) この数年の研究上のネット環境整備は素晴らしい。その現状をおさえて、今回は @国文学研究資料館目録データベース ACinii(国立情報学研究所の論文情報ナビ)の目録へのアクセス方法、その特徴などを解説した。両者を併用することで、国会図書館へ行かずとも、基本的文献を、ほぼ入手することができる。 第128回例会内容 日時: 2011年5月22日(日) 13:00〜17:00 場所: 川崎市平和館 第1会議室 【内容】 1.討論『小説 風土』を読む 第3回 :参加者全員による第3部についての討論を行った。 (配布資料) ・「小説 風土」第3部 初出→完全版 本文主要異同 ・開成中学時代の翻訳2篇(「アーサー王と其の騎士」と「幻の歌」)紹介 ・浪速書林古書目録に掲載された福永自筆物・初版本・限定本の紹介 ・岡崎市美術博物館で開催された「桃源万歳」展の紹介。 筆名、水城哲男の詩「桃源」が目録でも紹介されている。 第127回例会内容 日時: 2011年1月30日(日) 13:00〜17:00 場所: 川崎市平和館 第1会議室 【内容】 1.討論『小説 風土』を読む 第2回 参加者全員 『小説 風土』第2部(過去)を2時間半かけて参加者で 討論。 様々な論点が提出され、前回以上に活発な実りの多い討論となった。 第2部(過去)の重要性 、『小説 風土』のみならず、福永文学全体に持つ重要性を皆で確認した。 (配布資料) ・「小説 風土」登場人物相関図 ・「小説 風土」関連資料の検討:資料約60件の一覧、概略 データベース「主要参考文献」よりPDFファイルをダウンロードできます。 ・「小説 風土」第2部 初出→完全版 本文主要異同 ・単行本・全集未収録エッセイ「ゴーギャン 私の1点」 第126回研究会例会+会員のページ 【例会案内】 日時: 2010年11月28日(日) 13:00〜17:00 場所: 川崎市平和館 第3会議室 【内容】 1.討論『小説 風土』を読む 第1回 参加者全員 前回で『海市』の討論・発表がひと段落したので、多少中休みを置くつもりであったが、会として新たなHPも立ち上げ、新入会員もあったことでもあり、この際引き続いて『小説 風土』の討論 ・発表をすることとした。 『海市』では、あえて分割せずに毎回全体を討論したが『小説 風土』はその構成通り3回に分け、最後に全体討論と発表をする予定である(全4回)。 今回は第1部「夏―1939年―」を取りあげる。まずは既出の論点にとらわれず、各人の視点より、疑問点・問題点を列挙しつつ、その読みを開陳していきたい。 同時に、解釈の基礎作業のひとつとして、今回も『死の島』・『海市』に続いて、本文推移を確認した校異表を配布する(省略版と完全版の主要な異同)。 *「全集版」を底本とするも、何版で(準備して)も可。 2.軽井沢・追分文学散歩 U氏・Ki氏 10月23日・24日にかけて、福永文学に縁の深い軽井沢・追分を数人で廻られた際のご報告をしていただく。 福永関連の文学散歩は、既に多くの方々によってなされているのだが、今回の水先案内人のU氏は、実に綿密な事前準備をされた上で独自の視点からの散策を企画され、Ki氏もブログに見られる如く、福永だけに限らず、同地に関連する文学作品から幅広い有益な紹介をされている。 当研究会では、この種の報告・発表も積極的に行っていきたい。 *会員のページ* 【Ku氏のページ】 ○11月例会の簡略な感想(研究と旅行報告を聴いて) 平成22年11月28日の例会では、まず前半は「討論『小説風土』を読む」(第1回)が行われた。会場は川崎市平和館で、参加者は、新規の女性を含めて6名。皆が貴重な意見を出されたが、筆者は、この作品の1〜4章で、まず「多用される外国語」と、Mi氏作成の「詳細な異同表」についてこだわってみた。 (1)『風土』を読む/多用される外国語 作中で、作者福永武彦は、例えば ゛Alea jacta est.゛(ラテン語{サイは投げられた})を、何の注も無く、本文中に登場させている。これは、福永(と、その周辺にいたマチネの人々)の教養の深さを思わせる箇所である。そう思ったのは、筆者一人ではなく、皆の関心事となった。 また、道子が自分の母親のことを、フランス語風に「ママン」と呼ぶのも注意を惹いた。作者は、どんな意図で「ママ」ではなく「ママン」ということばをもってきたのか。長篇であるだけに、一語一語にこだわるときりがないことも事実であるが、やはりそこに福永の意図を見ることができるのではないか。 (2)『風土』を読む/『風土』の詳細な異同表 また、Mi氏の作成された詳細で精力的な作品『風土』の異同表には、今回もまた圧倒させられた。省略版(52年)と完全版(57年)との異同表をみれば、例えば最終的には、福永は「驚かして」を「威かして」、あるいは「樂しい」を「愉しい」に替えていることがわかる。(それらの問題点は、今回は省略)。 両者の意味が微妙に違うので、このような異同表は、福永を深く研究する場合、非常に役に立つ。同時に、Mi氏は『風土』第1章から第4章まで「主な漢字・かな異同」を26例もあげられたが、この作成は骨の折れる作業でもある。それゆえに、Mi氏の福永研究への並々ならぬ意欲を知ることが出来た。 (3)軽井沢・追分文学散歩(ゆかりの地―――秋を満喫) 後半には、U氏・Ki両氏のご好意を得て、10月に自動車で旅行された清瀬や軽井沢や信濃追分といった福永ゆかりの地の風景を、スライドによって見ることが出来た。 そのスライドに即して、梅澤氏から、詳しく面白い―歴史的背景なども含めて具体的な―説明がなされた。信濃追分での、有名人(加賀乙彦氏)の別荘訪問の話も愉しく、一方、あの伝統ある油屋が廃業したそうだという話に驚いた。油屋に泊まったことがある筆者は、少し淋しい気分になった。しかしながら、永遠というものは存在しない。きっとこれからは、また、新しい持ち味を持った宿があらわれるだろう。 何はともあれ、そのスライドによって、筆者は、清瀬・軽井沢・信濃追分の秋を、居ながらにして十分満喫することが出来た。 第125回研究会例会+会員のページ( 【例会案内】 日時: 9月26日(日) 13:00〜17:00 場所: おおやま街道ふるさと館 和室 1. 討論「『海市』を読む」第3回 参加者全員 全員討論の最終回。作品全体に渡る討論と発表。 発表 Ki氏
【Ki氏のページ】 【9月例会簡略報告他】 例会では『海市』についての見解を発表させていただきました。皆さんからいただいたご意見や、その後の自分の考えの変化もありましたので、整理して別の機会に修正を加えたいと考えています。(Mi註 A4判14枚の豊富な資料を駆使しつつ、『海市』における『アンナ・カレーニナ』の反映を論じられた、啓発される所の多いすばらしい発表でした。) Mi氏より提出された福永自筆の『海市』創作ノート初案は、貴重な資料であり参考になりました。福永の戦後日記の一部が「新潮」10月号に掲載された経緯も大変興味深いものでした。来年夏の発刊が待たれます。 友人から、福永武彦、堀辰雄、立原道造などを始めとする小説家・詩人に縁の深い軽井沢、追分を中心とした文学散歩に誘われ、10/23(土)・24(日)の2日間に亘り、信濃路を散策しました。行きたい場所をすべて網羅することは出来ませんでしたが、念願だった玩草亭訪問を今回実現できました。散策のエッセンスを研究会ブログに連載していますのでご覧いただければ幸いです。誤記、勘違いなど気が付かれましたら、お手数ですが研究会宛メールや掲示板、ブログへの書き込みをお願いいたします。 ブログ「玩草亭日和」文学散歩: http://gansoutei.blog133.fc2.com/blog-category-9.html 【Mi氏のページ】 完全版『小説 風土』、鮎沢福子への献呈本 『小説 風土』を例会で取りあげることになったので、関連書籍を紹介する。 随筆「夢のように」(1973 新潮社『随筆集 夢のように』、福永全集第14巻所収)に、鮎沢巌・福子夫妻、その長女露子との親しい付き合いが記されている。 戦前の高等学校から大学時代にかけて、この鮎沢家をしばしば訪れた体験が、『小説 風土』や『獨身者』創作に大きく反映していることは周知の事実だろう。 『小説 風土』完全版刊行時(東京創元社 1957)、福永は左のような献辞を認めて、貴重な私家版(限定30部)を福子に寄贈している。 自ら「ロマン」と記す作品を献呈する福永の脳裏に去来していた想いは、どのようなものであったのだろうか。 拡大画像 第124回研究会例会+会員のページ 【例会案内】 日時: 7月25日(日) 13:00〜17:00 場所: 川崎市綜合福祉センター(エポック中原)7階 第2会議室 1.討論「『海市』を読む」第2回 参加者全員
*会員のページ* 【Ki氏のページ】 ・例会報告 7月例会では「海市」についての第2回目の討議が行われました。 興味深かったのは断章群における「彼」、「彼女」の特定についての議論でした。とくに第二部で「彼」と「彼女」が湖上でボートに乗る場面については意見が分かれ、結論として一時帰国時の菱沼と弓子であろうと落着しましたが、個展等で多忙な菱沼にとって、それほど執心しているとは思えない人妻となった弓子に割く時間があったのだろうか、などの疑問も残りました。 既出文献においても、各断章における「彼」、「彼女」の特定について検討されていて、例会後に確認したところ、この場面に関しては、湯川氏(「国文学春秋」 1972)と栗山氏(「長野県国語国文学会研究紀要」 2005)が古賀と安見子、高木氏(「中部大学人文学部研究論集」2001)と稲垣氏(「阪神近代文学研究」 2010)が菱沼と弓子と解釈されていました。福永が意図したのがこうした多義的な読みの可能性であったとするならば、我々はまんまと彼の術中にはまったということになるのでしょう。 例会には、Mi氏より福永自筆の「海市創作ノート」、A氏より福永自家製の「ボードレール詩集」という福永研究者、ファンにとって垂涎の資料が提出されました。 「ボードレール詩集」は函も福永が作っていて、愛書家福永の面目躍如ぶりが窺えました。 なお上記文献を含めた「海市」関連の既出文献(約60点)の一覧表を当サイトのデータベースに掲載しましたので、作品読解の参考になれば幸いです。 当サイトでは、旧ホームページの内容に、Mi氏提供の貴重な書影付き著作紹介、会員限定の掲示板、ブログなどを加えています。 まだまだ発展途上であり、会員の皆様からの御意見・要望などを取り入れて充実させていきたいと考えています。 【Mi氏のページ】 福永武彦戦後日記1945・46・47の一部が掲載された「新潮」10月号が発売された。 その公表の経緯と文学的価値に関しては、池澤夏樹氏「福永日記のこと」をご覧いただきたい。 今年の3月末に、池澤氏より日記翻刻・注解のお話しをいただいてから半年。様々な意味で躊躇いがあったのだが、しかしこのように雑誌にまとまってみると、今まで福永文学から得てきた大きな悦びに対して、幾らかはお返しすることができたようで多少の感慨がある。 1945年、日記扉の福永自筆ゴーギャンの言葉 第123回研究会例会+会員のページ 【例会案内】 日時: 5月23日(日) 13:00〜17:00 場所: 烏山区民センター 第5会議室 1.討論「『海市』を読む」第1回 参加者全員
【Ki氏のページ】<5月例会報告他> 今回の例会でわたしは「海市」読解の上で参考になると考えられる文献(福永自身の資料を含め約60点)を抽出し、そのデータと要旨を一覧としてまとめた資料を発表しました。 文献調査は初めてであり、手間と時間もかかりましたが、作業自体、とても楽しいものでした。この作業を通じて「海市」の内容と小説構造の理解を自分なりに深めることができたと思います。 先行文献において検討されている本作品の特徴を大まかに分類してみると、渋と安見子の愛と死について論じたもの、次いで音楽性への志向を含めた巧緻な作品の構成について論じたものが多かったと感じました。本作品に関しては福永自身が「著者の言葉」、「『海市』の背景」の中で、小説の創作意図やその断章構造について述べており、そうした福永自身により半ば設定された枠組にとらわれない発想の文献が少ないようにも感じました。先行文献を俯瞰した上で、新しい視点で作品をとらえることができるのか、自分にとって難しい課題です。 そうした点で、今回、Mi氏から提出された福永の未発表自筆原稿「ゴッホとゴーギャンに関する補足的主題」は大きな刺激となりました。この資料については福永が「『海市』序」の中で、"せっせと取ったノートの中に「ゴッホとゴーギャンに関する補足的主題」というのがあった。自殺者であるゴッホと、自殺から生き残ったゴーギャンとについて論じていて、その辺に「風土」の名残が見られるかもしれない" と書いており、「海市」検討の新たな手がかりとなり得る貴重な資料です。 先日、加藤周一のインタビュー、講演を主に構成されたドキュメンタリー映画「しかし それだけではない。/加藤周一 幽霊と語る」のアンコール上映を観ました。 予習として「羊の歌」、「日本文学史序説」を読んでいましたが、"しかし それだけではない"加藤さんの眼力が印象的な映画でした。学徒出陣で死んで幽霊となったかつての友人と今でも対話していると語った加藤さんの姿は、「海市」の主人公である渋が抱く戦争によって死んだ者への罪の意識(福永の意識でもあろう)に照応しているように思われました。ラストシーンで流れた「死んだ男の残したものは」(武満徹作曲、谷川俊太郎作詞)のメロディが胸に沁みました。 【Mi氏のページ】 1.「日本古書通信」に「中村真一郎、古典主義者の蔵書」と題した一文を、6月号から連載中である(6月号から8月号までの3回予定)。私自身が、5年間で実見した氏の蔵書の内から、特に「古典主義者」という面に光を当てて、その一部を紹介したものである。 先日は、そのためもあり日本近代文学館の「中村真一郎文庫」を訪ね、記憶の確認をした(一般には非公開)。一段に40冊入るという棚に60段に渡ってギッシリと収まった英語・独語・仏語・ラテン語他、2000冊以上になる洋書の大群を見逃す事はできないものの、改めて @ 各国語の全集類の多さ A プルースト著作の日本語訳の多さ に注意を惹かれた。 Aに関しては余り記憶になかったので、上記一文に多少手入れをすることが出来たのは収穫であった。 2. 先日、久しぶりに福永武彦関連資料の大物を入手した。中でも特記すべきは、福永武彦書簡である。極めて興味深い内容であり、年譜作成に欠くことの出来ぬ重要資料であるが、日記や書簡などの私的色彩の濃い資料は、きちんと順を踏んで、関係者の諒解を得た上で公表されることが望ましい。 これら日記や書簡などの内輪の資料が市場に流出することは、もちろん望ましいことではない。しかし様々な資料が流出している現状を前に、身内でもない一研究者として出来ることは、資料の存在を広く探索して適切に管理し、公表のための準備を整える以外にないだろう。 *関連事項* 当研究会の新ホームページを新たに立ち上げる。既に8割方出来上がっているが、7月例会において参加者各人の意見を出し合い、多少修正を施した上で、近々正式にお知らせする予定である。 掲示板では、会員限定の案内や資料性の高い福永武彦に特化した話題を、ブログでは、福永に限らず、その周辺も含めて本や雑誌の最新情報や自らの想いなど、広く一般的な話題を書きこむ場にしていくことを考えている。 |
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